移住体験記
〜第4章 清水 宏香・史朗さん〜
移住体験記 第4章は、関西から北海道に移り住んだ清水 宏香・史朗ご夫妻の移住に対しての思いを二人で語った楽しい会話を抜粋して、皆さんにご紹介します。

よさこいソーラン祭りでの勇姿
 旦那;清水史朗 27才、京都府京都市出身。現在、まさかの公務員。
 嫁 ;清水宏香 27才、兵庫県宝塚市出身。現在、法律事務所でパートタイマー。

 こんな二人は1996年2月に結婚し、同年4月より札幌で暮らし始めました。

 北海道へ来るきっかけは、主人が言うには「旅行で何回か来てたやん。で、何回も金かけて来るぐらいやったら住んだ方がええかなって。あっちこっち行くのに金もかからんかなと。そんな好きやったらいっそ住んじゃえっていうノリで来てみようかなっと思ってん。まぁ、そんな時に(道内採用の)公務員試験があったから、これが一番てっとりばやいわと。受かったら受かったで北海道採用になると。そう、ついできごごろで。魔がさしたというか…。」ということで、いわゆる仕事探す苦労も知らず、札幌に住むということに誰からも反対も出ず、無事に札幌の人となりました。
 今年は、YOSAKOIソ−ラン祭りに夫婦で参加し、地元の人との交流もスタートして順風満帆の毎日であります。
 それではいよいよ、移住に対しての思いを語った会話を再現してみましょう。



史朗(S)「しかし、あれやねやっぱりうちはほんま引っ越しやで。」
宏香(H)「うん、あんまり考えてへんかったし今から思うと苦労らしい苦労なんかしてへんし。」
S;「冬の生活いうてもなぁ。」
H;「まぁ、史朗君がこけて骨折ったくらいで。」
S;「そんなんえぇがな。」
H;「私、暑いの嫌いやったからいいねん。」
S;「暑いのは服脱ぐにも限界あるけど、寒いのは着込みゃえぇからなぁ。」
H;「うちらって、北海道語らしたら一番あかん人間よな。」
S;「できごころで来たようなもんやし。」
H;「それってすごいよなぁ。」
S;「来たいなぁ、っていうのはあったけど、それに対して積極的に何かした訳じゃない。」
H;「そもそも向こうにおる時に(開拓使の会の)会員になったわけじゃないもん。」
S;「情報なんかないし、旅行で来た時に賃貸情報紙とか買って家賃の相場を見たりとか。」
H;「そうやんなぁ、まぁこっち来てほんまいいのは関西の蒸し暑い夏から逃げられたことかなぁ。」
S;「夏はな、人間生きていくうえでこれぐらいがちょうどえぇんやろな。」
H;「冬は着込むしあんまりわからへん。」
S;「いや、俺は朝始発で仕事行くし、吹雪いている日は辛いで。」
H;「でもな、そんなんも春来たら忘れへんか?」
S;「確かに。まぁ、俺らYOSAKOIに出るんで忘れられるいうのもあるしなぁ。」
H;「そうそう、私の中での転換期となった。」
S;「まぁ、どんなことでもえぇんやけど来るだけやったらアウトサイダーなんよ。確かに住民票を移せば道民やけど、ほんまに道民になろうと思ったら、来た以上何かせなって思う。3年目に入って思う。」
H;「そうやな、いつまでもお客さんとか関西から来た人っていうのがついてまわる。」
S;「転勤とかで来る人は来たくて北海道に来るわけじゃないやん。でも住民票は一応移すし、そこで道民になる訳やん。でもいつかは、本州に帰るんやって思ってるとこあると思うねん。どっかおまえらとは違うんやでみたいなオ−ラがあるやんか。」
H;「最近思うのは、私もそうやったんやんか。私は後ろ向きになってたところもあって、心の底からの満足もなかったし帰りたいとまでは思わへんかったけど、向こうが懐かしいやん。そういうとこでは、北海道になじもうとしてへんかった。ただ、YOSAKOIをやりはじめて、初めてこっちのどさんこと友達になれた訳やん。今までは、開拓使の同じように本州から来た人とばっかりつきあってて、結局どっか本州やっぱりいいよねっていう話になる訳よ。」
S;「そやな、好きで北海道来てんのに北海道のぐち大会になって。」
H;「でもYOSAKOIの友達はそんなんも何もなく、普通に話せる。」
S;「だからって、誰でもYOSAKOIをせぇっていうんじゃなくて、言いたいんはどさんこの友達や知り合いを増やさんといかんと本当にとけこまれへんのとちゃうかなって。」
H;「うちには子どもがい−ひんかったからあれやけど、子どものいるおうちは早いと思うとけこむのが。子どもをとおして地元の人とかかわる必要が出てくるから。でも、そんなんがないうちらは、2年間もったいない時間を過ごしてしまったかなって思う。でも、方法もわからんかったし。夫婦っていう単位で地元にとけこむなんて難しいなっておもう。いうても札幌じゃ近所付き合いなんてないし。」
S;「都市という意味では東京・大阪と変わらへんもんな。」
H;「うん、でもほんまにYOSAKOIは転換期になったな。みんな誰でもそういう瞬間てあるんやろけど、私はこれかって感じ。人生の中で一杯節目てあるんやろけど、私の北海道にきて一発目の節目はYOSAKOIとの出会いやったんやろな。後はそうやなぁ、最近言葉があやしい。関西弁がちょっとくずれてしまうこともある。」
S;「関西人としての自分っていうのがあって、関西弁はめっちゃ好きやし、でもくずれてくんのもしゃ−ないかな−って。」
H;「やっとくずれるっていうことを自分自身受け入れられるようになったかな。まあえぇかって。」
S;「そやなぁ、もうえぇかっていうのある。だって俺ら今、関西人ちゃうもん。出身は関西やけど。」
H;「それをやっと言えるようになったと思わへん?素直に。」
S;「2年くらい依怙地になっとったもんな。なんか自分が北海道にも根付いてなかったし、関西には住んでへんし、言葉だけが自分をどこかに所属させる唯一のものみたいな。でも今は、そんなん考えへんでもありのままの自分を受け入れてくれるというか、認識してくれるとこがあるし。」 サイロの前にて

 
H;「やっと、片意地はらんとおれるようになったんとちゃうかな?3年目でやっと。」
S;「だからって、むりに北海道弁を使うわけではない。」
H;「ない。ないけど…。〜しょとか言うてる。」
S;「まざってくるね。まぁえぇがな。」
H;「うん、やっと北海道弁が良く聞こえるようになったっていうのない?」
S;「それはあるね。」
H;「前までは、何か自分の中で嫌やったもん。好きで北海道来てるくせに、文化が合わへんとか文句言うてた。」
S;「いや、未だに愛想の悪い店員が多いのは腹立つよ。」
H;「そら、腹立つ。でもそれは…。」
S;「それは文化っていうのとはちゃうか。」
H;「うん。でも絶対的なことにも文句言うてた。味付け濃いぃ(塩辛いの意味)とか。そんなん北国やししゃ−ないっちゅうねんナァ。今やったらいえるんやけど。そんなことにも神経質になってた。 肩の力抜けたんかなぁ。そんなんどうでもよくなってきた。こっち(北海道)に来るときに友達にほんまに行くの?えぇの?とか言われて変にがんばってたんかも。私は北海道でこんな楽しくやってます。って感じで。」
S;「どこおってもがんばらんとあかんねんけどな。でもちょっと批判がましく行くの?って言われとったらなぁ。」
H;「がんばりすぎとったかもね。でもうまいこといかへんから(北海道に)八つ当りしてたんかもね。」
S;「うんまぁね。」
H;「でも、がんばるって言えば北海道来たんやし遊ばなって。遊ぶのにがんばってたよな。」
S;「最近は遊び過ぎたら週明け疲れるやろって。」
H;「そうそう3年目にしてペースをつかんだ。最初の1〜2年は観光気分で毎週末にはどこかいかな損やって。あんたらこの先何年北海道おんねんって。いうくらい遊んでた。やっとペ−スダウンしてきた。」
S;「夏は遊ぶけど冬のくそ寒い時には家におるぞ、俺は!別に北海道来たからいうてスキ−せなあかんいうわけでもないし。」
H;「よう聞かれるけどね。スキーしてますかって。そんなん嫌や、だって寒いもん。」
S;「俺はスキ−には興味はない!来たからいうて誰でもせなあかんっていうもんでもないし。」
H;「もともと、ウィンタ−スポ−ツにもアウトドアにも興味があったわけでもないし。」
S;「俺、インドア派やもん。スキー行くらいやったら家でプレステ(プレイステ−ション)したいもん。」
H;「ハハハ…。」
S;「やったらはまるんかもしれへんけど、金かかるやん。そんなんやったら温泉!温泉がいい!」
H;「やっぱりうちって変わってるかも。別に北海道やからっていうのってあるかなぁ。まぁ我が家では移住いうほどたいしたことしてへんと。」
S;「それいうと終わるじゃろ。まぁでも北海道いうてもなぁ。」
H;「来たけりゃ来いと。」
S;「うん、ほんまに来たいと思ったら何でも疑問点を聞けと。」
H;「開拓使の会を使え!疑問点は聞け!(笑)」
S;「といって全ての問題点をクリアせんと来れへんかっていうとそうでもないんよなぁ。打つべき手を打ってそれでも足りひんかったらしゃ−ないやん。嫁にいくとか、結婚するとかと一緒ちゃうかなぁ。だいたい結婚て大抵の人は1回やん。そんで初めて結婚する奴が結婚したことないからって尻込みするんかって。したことなくても決めてしまったら段取り整えなしゃ−ないやん。考えていろんな人の意見聞いて。それといっしょやで。別に完璧にせんでもなんとかなる。」
H;「そや、ここも日本やねんからな。ただ、夢だけっていうか観光の美しいイメージとかドラマのイメージだけじゃしんどいかもな。」
S;「夢だけをいきなりかなえようとするんじゃなくて、それをかなえるための現実は必要やろな。本州から現実逃避したくて北海道来てもなぁ。夢を追いかけるっていうことはえぇんやけど。」
H;「そう、だから史朗くんのいうてた結婚と一緒なんよ。女の子にとって結婚て夢の時代があると思う。フワフワしたウエディングドレス着て、新しいお家に住んでって。でも現実ってそんな甘くないやん。ダンナのパンツは洗わなあかんしやな。生活せなあかんもん。北海道もそうやんな、甘い部分だけではないと思うよ。」
S;「移住って北海道と結婚するようなもんやん。で、その仲人役が開拓使の会なんやろね。」
H;「まぁでも北海道来たいと思うんやったら、自分からの働きかけって大事よね。」  
S;「百聞は一見にしかずやし、ほんまに欲しい情報は待っててもあかん。いくら本や開拓使の情報を集めてみても、やっぱり自分が実際に北海道で情報を集めるんとは大きな差があると思う。そうやって自分でも情報を仕入れようとするんが大事なんとちゃうかな。」
H;「実際に開拓使の会の会員さんでもいはるけど、北海道の冬を知らないから住みたいって言えるんだよって言われて、そんなんやったら住んだるわいって冬中とりあえず住んでみたって。それっていいよね。」
S;「まぁそこまでは、なかなか大変やけど一番寒いときに旅行で来て、街を歩いてみるとか。」
H;「でもそんなんも考えへんかったうちらみたいな人間もおるし、考え方次第ちゃうかな。移住ととるか単なる引っ越しととるか。人生最大の大事ととるか、何となく長い人生の中で好きなとこに住むんもえぇかなって来てしまうとか。うちは深く考えんとフラッと来たけどね。」 白滝村案内図前のご夫妻
S;「まぁ、開拓使の会ができる前から北海道が好きで暮らし始めた人もたくさんいるんやから住めるんやって。そんな情報集めんでも。やっぱりいろいろ情報が豊富になり過ぎて不安になってしまうんかな。恋愛でもそうやん。『俺あの娘好きやけど、好きな人おったら困るしなぁ。』『でも、言うてみなわからへんやん』『でも…。』っていうのと『俺北海道に住みたいねん。でも仕事ないって聞くし。』『探してみたんか?』『いやでもな…。』っていうのと一緒やん。とりあえずやってみ−やって。」
H;「君ってそういうふうに例えさせたら世界一やな。でもほんま、自分の思いがどれだけ強いかってことやろね。来たいっていう気持ちが強ければ少々のことはクリアできるやろから。でもうちはあかんな、こういうこと話しても。来ること自体苦労してへんし、苦労と思てへんし。」
S;「まぁ、人間やりたいことしようと思ったら苦労もあるじゃろ。」
H;「うちらって、住みたいとこに住めて幸せやな。」
S;「そうや、俺は小さいときから何か(北海道が)憧れの土地やったていうのもあったし。」
H;「私はまだよくわからへんけど、今全てが満たされてる訳じゃないけど、満足してしまったらおもんないかな。まぁ3年目にしたら上出来かな。」
S;「ただ、開拓使の本やうちみたいに来て良かったっていうてる人だけじゃないっていう事実もあるやん。本とかはやっぱりいい部分しか見えてこ−へんし。」
H;「帰りたいって思ってる人もおるやろし。」
S;「うん。来たら誰でもが成功するわけじゃないから。」
H;「これからどうしたい?」
S;「これから?いや得にないけど…。一生懸命働いて、子どもつくって家建てて、年に2回ぐらい旅行できて。まぁこれからかな、片意地はらんと。関西でも北海道でも一緒かな。先のことはわからんわ。」
H;「うん。私はとりあえずYOSAKOI毎年参加したいし、日々楽しかったらえぇわ。」



 これが我が家の移住体験記です。ほんと緊張感のないものですいません。2人で1時間半くらい色々話しました。お互いの本音がもっと強烈に出て、ここには出せないような話もありました。ただ3年目だからこそ、こんなふうに話せたのかもしれません。夫婦になったと同時に北海道で暮らし始めたので、移住どうこうよりも、結婚生活のほうが大変だったかも。でもやっぱり、来て良かったと今だから言えるのかもしれません。

 最後に一言。 「ん−、我が家?淡々としたペースやろね。札幌に関西の生活持ち込んで。きっとこの先何年経っても、冬になって雪が降ったらはしゃいで、春になったら冬の辛さ忘れてYOSAKOIで踊り狂って。夏がきたらほら!ビ−ル。ほら!競馬って。で秋がきたらほら温泉!んで冬がきたらよっしゃ−雪降った!!ってやっていくんとちゃうかな。北海道?好きやで。きっと死ぬまでここで生活していくんとちゃうかな。でも北海道も日本の一部やで。」    
平成10年6月28日 札幌にて


清水 宏香・史朗ご夫妻
札幌市在住
既婚
平成9年度 相談委員会 委員長

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