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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.14
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 「北海道雑感」  美馬卓示(ペンネーム)

  編集後記

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               2004年1月19日

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「北海道雑感」
 美馬卓示(ペンネーム)

 今から、十数年前、私はイギリスのバーミンガムに駐在して、ダン
ロップタイヤやダンロップのゴルフボールの製造販売で世界的に名を知
られた、会社の再建のため、英、独、仏、米各国にあるダンロップ社の
労務面を指導していた。

 会社再建はうまくいったし、そんな話はなんの面白味もないのでさて
おいて、まずゴルフを話題として取り上げよう。私も人並みにゴルフを
楽しんでいるが、日本のゴルフ場でなんとも腹立たしく、がっかりする
のが、あのOBの白杭である。そうしたとき、思い出されたのが、イギリ
ス駐在時代の、なんともおおらかなゴルフである。

 その、イギリスのゴルフ場の特徴としては、次のようなことが挙げ
られる。
 第一、OB杭がほとんど無い。あの白い杭が目につかないのである。
 第二、ラフは非常に深い。というよりは刈り込まないので、夏場など
では、草丈は30センチ以上にもなる。キャデイーはおらず、セルフプ
レーなので、ラフに打ち込めばボールを見つけることは難しく、まずロ
ストボールとなる。
 第三、1人でもラウンドすることができる。年度始めに、年会費を納
めておけば、ラウンド毎の費用は必要ない。したがって、フロントが居
なくなった夕刻からでも、スタートできる。

 要は、グリーン以外はほとんど手入れをしていないのである。自然の
あるがままの状態でプレーをするのがゴルフである、というのがイギリ
ス人の考え方だ。勿論、6インチリプレースなんてものは無い。私も下
手なりに、時にはナイスショットも出る。勇んで、ボールのところへ
いってみると、ボールは無残にも放牧された牛がつけた、ひずめ跡に
ポッコリと嵌まり込んでいる、と言う事態に何度か遭遇した。次の
ショットは、出すだけだ。

 イギリスのこの自然あるがままの考えは他のいくつかのスポーツにも
見られる。
 この國発祥のスポーツ、ラグビー、サッカーこれらは雨が降ろうが雪
が降ろうが中止になることはない。ゴルフに於いても多少雨が降ろう
が、グリーンに水が浮きプレー続行が出来なくなるまで続けられる。

 アメリカの場合は少し異なると私はおもう。アメリカのゴルフ場は、
箱庭的である。地方に行けば、1ラウンドプレーするのに10ドルでO
Kという、少し荒れたゴルフ場もあるが、プロがプレーする有名なゴル
フ場は手入れが行き届いて誠に美しい。その代わり、OB杭はたくさんあ
る。

 日本のゴルフ場は、多分にアメリカ的で、十分に手入れが行き届いて
いるが、同じようにOB杭がたくさんある。そして、進行を早くする意味
もあって、プレーイング4で前から  どうぞ、となる。そのほか、プ
レーの進行を早めるための施策として「マムシに注意」の看板もある。

ある時、北海道でゴルフをする機会があった。           
 
 北海道は北の大地といわれているように広い、ゴルフ場も広いだろう
から、せせこましいOB杭などというものは無いだろう!久しぶりに、
思い切ってクラブを振り回せるだろうと、私はおもった、しかし、現実
はいたるところに白杭が存在した。広いはずの北海道のゴルフ場になぜ
OB
が多いのだ、本州のゴルフ場と変わらないではないか、と腹立たし
かった。なぜ、もっと自然のあるがままを大事にし、強調しないのか、
と。

 昨年、8月、神戸からこの北海道へ(札幌でなく南空知の一角、栗沢
町に)居を構える事としたのも、家族の一員に乗馬用の愛馬が一頭おり
まして、この愛馬の馬場を確保するためにも、この自然がいっぱいの広
い大地が必要だったのです。

 まだ、移住後5か月にもならないが、そのわずかな期間に、なぜ?こ
んなことがと疑問に思う事に多々出くわしたので、ここに披露すること
としたい。

 第一 高速道路建設の問題
 これまでも、全国各地の高速道路で、熊が走るとか、亀が走る道路と
いう批判を幾度かきいてきた。事実、走ってみて前にも後ろにも、全く
車の姿を見ることができない、高速道路を何度か経験した。これらは、
全く国費の無駄遣いである。
 然るに、このたびの本年度予算編成で、北海道の高速道路4計画のう
ち、2計画は採算ベースに乗らないということで、一旦外されたものが
再度復活したと聞いた。
 これから、詳細検討されるとかだが、なぜ、そんなに高速道路にこだ
わるのか理解に苦しむところである。現在の道央道でさえ走ってみる
と、幹線道というには程遠い利用状況である。大体、北海道では、一般
道路でさえ制限速度お構いなしで、ビュンビュンすつ飛ばしていく輩が
多い。私の住まいの栗沢町は農村地帯ではあるが、前面道路の30号線
は、三笠、岩見沢方面から苫小牧方面への抜け道でもあることから、大
きなトラックやトレーラーが、時速80KM~90KMの猛烈な速度で走り
抜けていく。
 これらを見ていると、なにも高速道路は必要ないのではないか、一
般道路をいかに整備するか、道路の交差をどうするか、制限速度をどう
考えるかで、高速道路を必要とする理由のひとつの、物産の流通の迅速
化は解決するのではないか。
  
 また、イギリスの例で恐縮だが、イギリスの車速の制限はさほど厳し
くない。
 一般道路で、一車線の対面通行の道路では60マイル(約96km)であ
り、団地等住宅街の中でも40マイル(約64km)である。考え方の基本に
スピードは事故の大小には関係あるが、事故の多い少ないには関係な
い、ということだと思う。
  余談になるが、私の友人が酔っ払って蛇行運転をしていたところ
を、パトロール  カーに停車を命ぜられ、車をおいて帰るようにと、
注意された。パトロールカーはそのまま立ち去ったそうである。私は、
友人に車はおいて帰ったの?とたずねたが、彼曰く、とんでもない!パ
トカーに止められただけで、酔いは吹っ飛んでしまい、普通に運転して
帰ったよ!とのことであった。

 第二 北海道開発予算の問題
 これまでが、勉強不足だったかも知れないが、今年、初めて政府の公
共事業費のなかに、北海道開発事業費が特別に存在することを知った。
それで、北海道開発庁長官などという大臣がいたのだ!と悟ったしだ
い。
 北海道の開拓を始めて、いくらの年月が経ったのだろう!これまで、
ずっと公共事業費の10%を優先的に割り当ててきた「北海道シェアー」
がここ2年連続して10%を割り込んだそうであるが、なぜ北海道シェ
アーなるものが存在したのだろう?公共事業が北海道の経済発展につな
がるなんてことは、まやかしだと思う。

 先日の、自民党総裁選でも、いまだに景気回復のためには、公共投資
予算の大幅増が必要、などという意見をのべている候補者もいたが、と
んでもない話である。
 これまでの、公共工事を見ても、そのときは活気があるように見える
が、ほとんどが対費用効果から見て疑問符の付くものが多く、結局は税
金の無駄遣いとなり、国家財政逼迫の一因となっている。

 住宅建設にしても、私の目からみれば、この北海道において、チマチ
マした宅地開発が多すぎる。折角、広い北海道で、なぜ50〜60坪程
度の宅地をずらり並べるのか? もう少し
 北海道の特殊性をいかした、これぞ北海道といった宅地開発をして、
その景観にマッチした住宅を建設するなどの配慮をしていただきたいも
のである。そのためには、多少の北海道開発事業費を割り当ててもらっ
ても、よいのでは!

最後に、農業経営の問題
 これは、北海道の農業経営だけの問題ではなく、全国的な問題かもし
れません。
  
 総体的に、日本人の食生活は少し贅沢すぎる風潮があると、憂慮して
いるが、その傾向は素材にまで及んでいる。私は、愛馬のために、夏か
ら秋にかけての人参の収穫期には、近くの農家で
市場に出荷できない人参を戴いてくる。私としては、大変ありがた
いことであるがこれで良いのだろうか?と疑問に思うのである。という
のは、市場に出荷できる人参の形はすらりと伸びていなければならず、
曲がったり、先っぽが割れていてもいけないらしい。また、大きすぎて
も、小さすぎてもいけない。
 まず、収穫された人参の半数ぐらいが農家において自主的に選別され
出荷されない。農家の人たちは、選別した人参を各地区の、農業協同組
合に出荷するが、ここでも洗浄と選別が行われ、大量のハネ品が除外さ
れて後、市場に出荷の運びとなる。
 この理由は、流通段階におけるコストの問題即ち形が良くて寸法が
揃っていればー荷物がまとまりやすく、運送経費が安くて済む。販売業
者は一般消費者にたいして商品が美しいほうが、販売しやすい。
  しかし、その結果として生産者としての商品のコストは高くなり、
海外からの輸入品に太刀打ちできないこととなる。消費者も、もう少し
賢くなって、見た目の見栄えに誤魔化されず、
よりやすく購入できるように、流通段階に働きかける必要があるのでは
ないだろうか。一例として、人参をあげたが、きゅうり、なすび等、み
な同じことである。
 見かけにこだわらず、実質本位に目覚めることが、食料の自給率を高
め、国家としての貿易の自由化の推進を後押しすることとなるだろう。

 我々は、我々の住む北海道の恵まれた自然を大切にし、無用な自然の
破壊を阻止し、
 道内の恵まれた食材を大切にしていきたい、というのが結論である。


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編集後記
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                  2004年1月19日

おかげさまでこのMLを創刊して1年が経過いたしました。
今年も少々過激なテーマで異論暴論をお届けしようと思っております。
ご期待ください。

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