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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.20
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 「札幌地下鉄再建市民のチエと汗と金の出しどころ」
   石黒直文(当会理事長)


  編集後記

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               2004年8月2日
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札幌地下鉄再建-――市民のチエと汗と金の出しどころ


近鉄が半世紀以上も持ってきたプロ野球を手放すという。これで西鉄、
国鉄、東急、阪急、南海についで7番目の電鉄を親会社とする球団が消
え去ることになる。オーナーの話によると年間40億円の赤字を負担する
ことは電鉄会社という公共的な企業にふさわしくないという。ふさわし
くないなら初手からやらなけりゃいいわけだが、むかしは持てたが、今
は情勢が変わったというわけだろう。

もともと地下鉄にかぎらず旅客鉄道事業は、膨大な初期投資を要する。
この金をすべて自己資本でまかなうわけにはいかないから巨額の借金を
抱えて出発する。それを大衆からの日銭収入で、長期間にわたって回収
し、返済していく商売だ。

したがってこの商売が成り立つためにはいくつかの要件が必要だ。都市
人口が増える。地価や物価が上がる。運賃が継続的に上げられる。イン
フレ率を差し引いた実質金利が低い。これまで鉄道事業が多少の赤字事
業を抱えても、ハッピーに成り立ってきたのは、要するにこれらの成長
とインフレという条件がしっかり満たされていたからだ。

札幌の地下鉄を見ても、1971年開業当時の1区料金は30円、ほぼ5年ごと
に運賃値上げを行って、今から7年前に現行200円になった。70年代には
3
倍、80年代は2倍の値上げができた。これだけ上げられれば多少、初期
投資が多かろうと、金利水準が高かろうと楽勝だねと誰もが考えてき
た。

ところがどっこい事態は一変した。世の中インフレからデフレに変わっ
たのだ。札幌に限らず、70年代以降地下鉄を建設した大都市地下鉄は、
軒並み真っ赤か。営業収支でトントン、金利分が赤字、元金などはとて
も返せる状態にない。

率直に言って、国も地方も、先の見通しが甘かった。なるほど、都市化
とモータリゼーションの進行で、路面交通はにっちもさっちも行かな
い。地下にもぐる以外に方法がないのは事実だったろう。確かに建設コ
ストは高いが高率の補助制度でカバーすればいい。それに都市化とイン
フレは今後も間違いなく続く。地下鉄の償還期間は30年、これだけの長
い目で見れば、「安い買い物だったね」と必ず市民に喜んでもらえる。
長期的に観れば、明治維新以来間違いなく続いてきたインフレがデフレ
に変わるなどとは夢にも思わなかった。バブル崩壊に苦しんだ巨額の初
期投資を要する産業、たとえば、テーマパークに象徴されるリゾート開
発、大型ショッピング、大型都市開発、大型工業団地さらにそれらを支
えたゼネコン、銀行等が軒並み泥沼に陥ったのは、全く同じ判断に立っ
ていたからだ。

とすれば抜本的解決策も同じだ。まず第一に金利をまけてもらう。いま
どきロシアじゃあるまいし、7%だ、8%だという金利は暴利だ。札幌の
地下鉄にはまだ信じられないぐらい高い金利の借金が残っており、平均
しても5%を超える水準になっている。これを現在の市場金利に直して
もらうだけで年間の支払金利は6割以上節約になる。国から借りた金
は、固定金利だから一旦決まったものは変えられないという。そんなこ
とはない。国の債権管理に関する法律第29条には市場金利に合わせて引
き下げることができると書いてあるじゃないか。

金利引下げだけでは間に合わない。国の借金を棚上げしてもらうのが一
番いい。見通しを間違って不良資産となった百兆円に近い貸し金を、貸
し手責任として民間の金融機関はこの10年にわたって死に物狂いで償却
してきた。そうしなければ経営責任をとらされ、銀行は消えてなくな
る。同じことが国の機関にできないはずはない。国は問題を先送りして
誰も責任をとらなくていいというなら、それこそモラルハザードの典型
だ。どうしても先送りしたいなら、国鉄をそうしたように買取機関に
持ってもらうという方法もある。いずれにせよ、このまま放置すれば地
下鉄の借金は信じられないぐらいの巨額なものに達する。貸し手として
放っておいていいのか。

もちろん、当事者の札幌市ひいて言えば市民全体に責任がないわけでは
ない。地下鉄が動かなくなって一番困るのは札幌市民だ。元利金の抜本
的解決は貸し手の国に委ねるとしても、地下鉄が成り立つように考えな
ければならない。たとえば札幌市は昨年11月号の「広報さっぽろ」で市
民に敬老パスの存廃について意見を問うている。率直に言って何でもタ
ダがいいというわけにはいかない。老人には痛い話かもしれないがしっ
かり受け止めて論議すべき問題だろう。

乗客を増やす方策としては、JRや路面電車との乗り継ぎプラットフォー
ムの共有化とか、中央区の一部について自家用乗用車の乗り入れ禁止と
か考えようによっては、いくつもの方策が出てくるだろう。辛いことか
もしれないが、このままで地下鉄を維持するわけには行かない。ここは
札幌市民のチエと汗と金の出しどころなのだ

石黒 直文(当会理事長)


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編集後記
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                  2004年8月2日

この夏、行政機関はこぞって夏仕様のようで、スーツにネクタイではな
くてもよく、カジュアルな装いをする行政マンが多い。
が、ちょっと待ったぁ。世のお父さんたちに、いきなりスーツ以外の格
好で出勤せよ、というのはかなり酷ではないか。実際、ポロシャツ派が
多いようではあるが、失礼ながら「ちょっとタバコ買いにいってくる
わ」休日の午後的なオヤジが大半なのである。(お洒落度で言えば、ラ
イブドアのTシャツ社長の方が「許せる」かもしれない)。仕事では見
た目も大事であろうから「お父さんのためのカジュアルファッション
講座」でも企画したらウケるかも?


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