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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』.Vol.21
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 「隣の国からアイラブユー 」
   石黒直文(当会理事長)

  編集後記

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               2004年8月31日
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 隣の国からアイラブユー 
                                
 駒大苫小牧の全国制覇は、道民にとって本当に久しぶりに嬉しい話
だった。開拓使のメンバーからもたくさんのお祝いのメッセージが到着
している。昨年、20数年ぶりに優勝したとたんに「実はオレも大昔から
ファンだった」と、隠れタイガースファンが続々と生まれたように、こ
れを契機に、北海道ファンがぐんと増えてくれればこんなハッピーなこ
とはない。

 もう一つ嬉しい話がある。先ごろ、日本経済新聞が東アジアの4都市
の消費者を対象に実施した「日本の観光地意識調査」で、北海道が極め
て高い好感度を示したことだ。「訪れたい日本の観光地」では、香港、
台北、上海の消費者が第一位に北海道を挙げた。とくに台北では二位の
東京の2倍の69%の人が北海道を指名した。残念ながら、二位となった
ソウルでも、北海道の人気はトップの東京とハナの差だ。
これらの観光客が北海道に何を期待しているかを見ると、都市観光や買
い物に加えて、やはり温泉や自然環境が大きな魅力となっていることが
わかる。いずれにせよ、これからの最大のマーケットである東アジアの
消費者が日本列島の中で北海道大好きといってくれたことはたいへん嬉
しい話だ。

ただ、これらの地域では北海道のスキーやゴルフを旅行目的とする人が
少ないのは、少し気にかかる。今回の対象外だが、オーストラリアのお
客様は北海道のスキー場に大きな関心をもっており、同地の企業がニセ
コのスキー場を買収したことはご存知の通りである。スキーブームの起
きている韓国はもちろん、アジア東南部に市場を広げていくことは重要
な観光ポリシーになる。いずれにせよ、お客様が何を求めておられるの
か、そのニーズに合わせた商品作りのポリシーを確立していかなければ
ならない。

 実は、このところ国内消費者の来道数は減少している。北海道観光連
盟の調査によれば、昨年度の来道客数は前年比50万人、約4%の減少。
今年度に入っても47月の累計で13万人、4%減のペースは変わってい
ない。昨年については新型肺炎や冷夏、十勝沖地震などのマイナス要因
があったと説明されているが、猛暑の今年に入っても減少傾向が止まら
ないのはどうしたわけだ。売上が伸びないと、天気と景気の所為にする
のはダメな会社の常道だ。天気や景気が悪くないとは言わない。しか
し、もっと悪いのは何を誰に売るのか、つまりマーケテイングとマー
チャンダイジング・ポリシーの欠如なのではないのか。

 未来学者のネイスビッツの説によると、一人当りのGDPがある水準を
越えると、海外旅行の爆発が起きるという。日本の爆発は1980年代。
1990
年代に入って台湾、香港、韓国の順番で連続的に爆発が発生した。
いま間違いなく北海道はその恩恵にあずかっている。そしてまもなく爆
発するのはBRICSといわれるブラジル、ロシア、インド、中国である。
このうち中国とロシアは、わが北海道のお隣の国だ。
 爆発すると人口の1割強が海外に出て行く(日本は15%強)。中国が
爆発すると、毎年13000万人が海外に出るということになる。一度に
そうはならないとしても最近の中国人の香港を含む国内旅行ブームの大
波が、まず最初の海外として日本を目指すのはそんなに遠い将来ではな
いと考えておくべきだろう。

 その中で前述の日経の調査によると、中国系の人々が日本に行くなら
北海道と考えていることは、十分に重く受け止めておくべきだ。そのた
めの準備や仕掛けができているのか。先日、東京の大手デパートの店内
放送を聞いて愕然とした。このデパートでは英語、中国語、韓国語そし
て日本語の順番で店内放送をしているではないか。東京のデパートが全
部そうしているかどうかは知らない。逆に、残念ながら北海道のデパー
トで外人観光客に対する店内放送を行っている例を知らない。北海道
は、観光立県を宣言した県ではなかったか。当然、北海道は、空港や主
要駅さらに大手デパート、ホテル等で、英、中、韓に加えてロシア語の
放送をすべきだろう。放送するだけでなく実際にこれらの外国人のため
の窓口が準備するぐらいのことをしていなければなるまい。お客様が、
何を考え何を求めておられるのかを理解できずにサービス業が成り立つ
はずがない。

 せっかく、隣の国から「北海道大好き、アイラブユー」といわれてい
るのだ。それに対して一言も喋らない、明確なアクションもとらない、
ただニタニタしているだけでは熱烈な恋心も醒めてしまう。所得がさら
に上がれば、当然、客足は北海道を通り越して欧米に向かってしまうだ
ろう。喪われた恋は二度と戻らない。

石黒 直文 (当会理事長)     

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編集後記
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                  2004年8月31日

「近鉄オリックス合併反対の署名にご協力お願いしまーす。」先日札幌
ドームで開催された阪神対横浜の試合前に私設応援団として署名活動
を行った。
応援グッズでコテコテに着飾った家族や、気合の入ったちょっと怖げな
兄ちゃん、またわざわざ自動車を止めて「がんばってください」と署名
にだけきてくれた通りがかりのビジネスマンなど、この合併問題に対し
ての感心の高さと、野球ファンの怒りの声が伝わってきた。
例の読売の某氏の「たかが選手」あたりから、スポーツ界のことではな
く、自分の会社とダブらせてみているビジネスマンも多いはず。
プロ野球選手になりたい、などと少年が頬を紅潮させたのも、もう昔話
でしかなくなったのか。

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