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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.26
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 「北海道新幹線について」
   片桐 政司

  編集後記

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               2005年2月1日



北海道新幹線について

 
正月早々、同じ見解の論文に出会った。私も昨年、北海道のホーム
ページ上にある知事への意見で、北海道新幹線を進めるならば在来型新
幹線にするべきと提言した経緯があります。理由は、新幹線で旅客を奪
われたあとの在来線維持管理の地元移管の負担が重過ぎること。 維持
できなければ生活圏の輸送手段が自動車に限られること。 そしてフル
規格新幹線が旅客輸送に限られること。
 
北海道の課題は、加工付加価値が付けられない食材を始めとする第一
次産品の輸送をはじめ、輸送コストが高すぎる事。 この差が九州と北
海道の明暗を分ける。先年、北九州の港湾の実態を調査した時、東南ア
ジアから船で輸送される物資を博多(福岡市)と北九州で競走して取り
合っていた。内航運送料金に比べて格安な国外輸送運賃で陸揚げされた
部品や食品加工素材が国内の有名な産地に直送され、そこで加工されて
付加価値が高められ商品化される中継基地となっている。
 
勿論、九州で加工できるものは商品の価格競争力が確保されるという
のである。

 北海道はどうか、相変わらず北海道価格といわれる輸送費上乗せの経
済である。購買品が輸送費により割高となるという事は、販売品も割高
となるということである。同じ商品価格とするには元値をダンピング
(適正価格以下に)しなければならない。
  
北海道の新幹線を在来型とすれば、旅客輸送のない時間帯を利用し
て高速の貨物輸送を行うことが可能。まして、北海道新幹線が札幌まで
延びるのは20年以上先、一世代後である。少子化により現在のように
大量のトラック輸送を支えるだけの運転者が確保されるのであろうか。
特に長距離便が問題となろう。宅配便など近距離であれば比較的高齢者
でも運転できるが長距離輸送は体力勝負である。

  
一方これから空の時代という人もいるが、資源の枯渇が心配される
中で、航空輸送が主たる輸送手段になるのだろうか。北海道の次の世代
に残してやれる資産として現在の価値基準だけで量って20〜30年後
もフル規格新幹線としてよいのだろうか。
 
高速鉄道貨物輸送のメリットは、北海道の新鮮な野菜、魚介類などを
早く安く届けられる事である。このことは、本州などの消費者にとって
も、寒冷なるがゆえに低農薬で栽培できる食料品を安く、新鮮な形で提
供されるのだから双方メリットがある。
  
帰り荷として工業部品を積んでくる。たとえば車である。現在苫小
牧でトヨタ自動車がブレーキなどの部品を作っているが、完成車を北米
に船便で輸送するには大圏航路といわれる北回りが有利な事は誰もが
知っている。であるなら、北海道に部品を安く早く運べるシステムが確
立されれば、完成品が地価の安い北海道で組み立てられ船便で国外に輸
送されるというシステムが出来上がる。工業を支えているのは部品等を
作る下請技術の集積が必要といわれ、東京大田区などがよく引き合いに
出される。 これは一朝一夕でできるものでなく、北海道でこれを凌駕
するのは困難であろう。
 
しかし、こうした部品を安く輸送できる手段があり、完成品を安く輸
出できる条件があるならば、完成品の組み立ては北海道でもできる。広
い土地を必要としているからなおのこと、大規模工業地帯構想が頓挫し
た苫小牧東部地区の活用を図れる。
 
苫小牧東港は過密でないから専用岸壁を造れば積出しもスムーズに行
くだろう。

 このような理由からも、在来型新幹線であれば、これを活用すること
が可能となる。そのために東京までの旅客輸送が1時間半とか2時間伸
びたって良いではないか。建設投資が少なく、その業界に直接の恩恵は
少ないが建設時期を過ぎてその債権地獄に陥るよりも、長期に安定した
展望が開かれる方が良いのではないのか。むしろ、北海道に入って車窓
に映る広々とした風景を見て感嘆の声をあげる本州からの旅行者を見る
につけ、少し景色を楽しむ余裕があってよい。新幹線の料金は航空機並
みで決して安くはない。急ぎのビジネスマンはどっち道空路を選択する
だろうから、鉄路は少し遅くなったって良いではないか。それによって
次の世代が払うべき代償も少なく、知恵次第で活かせるインフラストラ
クチャーを残してやれたらと思うのである。
 
これも「暴論」なのだろうか?

 
片桐 政司


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編集後記
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                   2005年2月1日


さっぽろ雪まつりの真駒内会場は今年が最後の開催。札幌育ちの人には
子供のころに大きな氷の滑り台で滑れる楽しみの場所だったことのと。
私にとっては元気だったころの愛犬たちを連れて会場で人気者になった
り、寒くてヘトヘトになったり、記念写真を撮ったりした思い出の場
だ。札幌に移り住んで10年、初めて大きな思い出の場所がなくなる。

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