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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.27
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 「北海道は北海道方式でいこう」       
    石黒 直文(当会理事長)

  編集後記

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               2005年3月4日

北海道は北海道方式でいこう         
          石黒 直文(当会理事長)


 市町村合併が苦労している。北海道の「平成の大合併」は、締め切り
を迎えて212180台になる程度。3割以上も減少した他府県に比べて著
しく劣る。担当の総務省のご機嫌はきわめて悪い。

 明治の始め、全国の町や村などの数は7万だった。この時期の人口、
世帯数から考えると、わが国の平均的な自治体は、鎮守の森を中心に人
5600、世帯数約100戸(天智天皇が定めた『さと』は50戸だった)
で成り立っていた。この規模なら、皆が親戚か知人。子どもの時の寝小
便から三年前の夫婦仲まで知り合う仲、どこの田の出来も、懐具合も、
互いに分かり合って暮らしていた。初等教育は寺子屋で知識階級の坊さ
んや神主さんが読み書きそろばんを教える。田植えや稲刈りには里人が
力をあわせ、村の祭りや干拓、治水などの公共事業は、金のある者が資
金を、力のある者が労働力を、金も力もない者が子どもの面倒や炊き出
しを手伝ってきた。母子家庭や孤児の世話という福祉事業も、村の誰か
が面倒を見ていたに違いない。ここに自治の原点があった。

 この7万の自治体が、「明治の大合併」で、翌明治22年には、一挙に
5分の1の1万3千になる。最大の理由はまだ50%に満たなかった小学
校の就学率を「不学」ゼロとするために校舎建設を急いだからである。
「昭和の大合併」は戦後1万だった自治体数を昭和35年までに3分の1
の3500にした。これも六三制という中学の義務化で市町村が新制中学
校の校舎を建てなければならなかったからである。

 市町村が合併してある一定の規模になることは、中央政府が統一して
ことを行うには便利だった。自治体側にとっても増大化、多様化する行
政需要をまかなうためにそれなりの規模の利益があったことは間違いな
い。そのため、中央政府は「対話と圧力」「アメとムチ」で合併を強行
した。いやだといっても、当時の自治体に中央の権力に抗うだけのチエ
も力もなかった。だからあっという間に7万が1万に、1万が3千になっ
たのだろう。

 この二度の大合併で7万が3千になり、国家行政の末端組織としての
地方組織は見事に成立した。しかし同時に、自分のことは自分で決める
という自治の精神も見事に失われてしまった。

 北海道はやや事情が違う。20世紀始めの自治体数は、札幌、函館、小
樽の3区に加えて16町村計19自治体しかなかった。人口100万、戸数19
万、面積8万平方キロだから、単純に平均すれば人口5万、戸数1万、
面積は約60キロ四方ということになる。これだけ広いところにばらばら
に集落があったのでは不便だ。そこで北海道は、人口増加もあり、分村
に分村を重ね、昭和のはじめには270の市町村となったのである。合併
に合併を重ねてきた内地とは、全く逆の推移であった。

 さて今回の合併である。もう一度原点に戻って「平成の大合併」を考
えてみよう。
 第一、何のために合併するのか。これまでの合併は、上からの命令で
あったことは間違いないとしても、地方の側にも、自分の子どもの教育
という住民が納得できる大義名分があった。しかし、今回は皆の胸にス
トンと落ちるものがない。逆に、このところ地方は中央のやり方に疑い
を持っている。三位一体とか、効率化とか、うまいことを言っている
が、結局地方から金を取り上げようとする話じゃないのか。

 現在、国と地方を合わせて1000兆円の借金がある。このうち8割は国
がつくった借金、地方は2割に過ぎない。その2割も半分は国がムリヤリ
地方に押し付けたものだ。オヤジが失敗して作った借金のために、子ど
もの小遣いも貯金箱も取り上げる。言うことを聞く子には、小遣いも減
らさないし、おもちゃも買ってやろうという。だがその金だってオヤジ
の懐から出すわけじゃない。言うことを聞かない子の分をまわすとい
う。そんな話がいつまでも続くわけはない。地方は何回もだまされてき
た。おいしい話はもう結構。本当の話を聞かせてもらいたい。

 第二.合併したらどんなメリットがあるのか。総務省のホームページ
を見ると、規模が大きくなれば行政の効率がよくなる。優秀な人材を雇
うことが出来る。計算してみると人口1万以下の自治体は効率が悪いと
いう。そんなことはわかっている。近くに人口集積を持った仲間がいれ
ば明日にでも合併して大きくなりたい。それがないから困っているの
じゃないか。霞ヶ関の役人の机上の計算を押し付けないでもらいたい。

 もうひとつ合併で効率が上がったとしても、失われるもの大きいこと
をもう一度繰り返しておきたい。過去の合併は「村」とか「里」と呼ば
れたコミュニティーを跡形もなく溶融してしまった。日本に真の地方自
治がないといわれるが、自治の核部分を壊したのだから当然の報いなの
かもしれない。いま、再び地方自治にもとめられているのは、効率向上
もさることながら、互いに助けあうというコミュニティー意識であり、
自分のことは自分で決めて責任を持つという自治の意識の方がもっと大
事なのではないか。

 第三.その上に立って北海道は北海道独自の方式を、道も市町村も一
緒になって考えだしたらどうだ。北海道は、歴史的にも、各自治体の広
さも、内地都府県とは基本的に異なる。新しい時代の北海道にふさわし
い、効率と自治とを、二つながらに満足する北海道方式の解を求めるべ
きだろう。小泉さんは北海道を道州制のモデル地区にするといったはず
だ。なにがなんでも全国一律、お上のいうとおり右へならへは北海道の
自治じゃない。

 北海道町村会が主張している広域連合もひとつの方式だ。合併しなく
ても上下水道やごみ処理、さらに介護医療などを近隣の市町村が共同し
て行うことはいくらでも出来るし、現実にやっている。民間でも持ち株
会社が認められた以降、北海道と北陸の銀行が合併でなくて持ち株方式
でうまくやっている事例が近くにあるじゃないか。

 断っておくが、合併に反対といっているわけではない。住民が心から
合併賛成というなら合併大賛成。確かに人口減少時代にただ反対と叫ん
でいていいのかという問題はある。しかし、上から言われたから「まず
合併ありき」ではダメ。国や道のムリヤリ押し付け合併は、地方自治の
精神を根本から壊してしまう。

 石黒 直文(当会理事長)

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編集後記
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                 2005年3月4日

今年は大雪だ。私のようにマンション住まいの地下鉄通勤者にはただ美
しく晩酌の風景としては言うことないのだが、「家を建てたら俺が雪か
きをする」宣言をしたお父さんたちは腱鞘炎になったり腰を痛めたりと
朝晩降り続く雪をうらめしく見ているようだ。
札幌市の除雪経費も再度割り増しされたようだし、降雪で高速道路や空
港の滑走路が閉鎖される回数も今年は多いように思う。各地でプチ陸の
孤島化しているといってもいいだろう。
いっそのこと北海道民は春になるまで仕事も勉強もしません、と宣言し
てみてはどうだろう。北国に暮らす動物たちを見習って冬は寝て暮らす
のも一興かも。

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