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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.28
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 「ホリエモンはフジに勝てるか」
   石黒直文(当会理事長)


  編集後記

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               2005年4月12日

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ホリエモンはフジに勝てるか
                
  石黒直文(当会理事長)

 最近、これほど面白い喧嘩はない。不謹慎な話だが、江戸の昔から喧
嘩と火事は大きいほど面白い。さらに、一見助っ人風の怪しげな人物が
登場してきて勝負は全くわからなくなった。どんな試合でも最後の最後
まで手に汗握る接戦にかぎる。フジテレビのモットーは『面白くなけれ
ばテレビじゃない』だそうだが、これほど面白く楽しい番組を提供して
くれるフジテレビの、身を捨てて視聴者に奉仕する姿勢に心から敬意を
表したい。

 しかし、フジテレビにとって残念なことがひとつある。サポーター席
に目を転じると、ライブドア側が圧倒的に多く、フジ側にはほとんど人
影がないことだ。世論調査を見ると、ほとんどすべての世代でライブド
アの応援団が圧倒的に多い。これだけ世論の評価が低いと、テレビ番組
なら登場するタレントもプロデューサー、デレクターも当然降板。ここ
数年、視聴率戦争で負け知らずのフジテレビ社員としては、この状況を
そばで見ていて歯軋りする思いだろう。
 なぜこうなったのか。

 Tシャツでノーネクタイ、年長者に敬意を払わない32歳の若者が、法
に触れないとはいえ土足で座敷にずかずかと上がってくる。これを苦々
しく思う人は当然いるだろう。しかし、いま世間の多くは、がっちり固
められた既成のシステムに息苦しいまでの閉塞感に取り巻かれていた。
それだけに、多くの人が、この若者の乱暴ではあるが既成システムへの
勇ましい挑戦と衣着せぬ発言に、久しぶりに「スカッとした爽やか」を
感じている。

それにひきかえ、防戦に回るエスタブリッシュメント側の役者と筋書き
進行は、いかにも古すぎる。しかもモタモタ、バラバラだ。60代の会長
が主戦投手で、その応援団に元日経連メンバーの主要企業と自民党の領
袖が取り巻く。半分の企業側は、過去のしがらみとわが身の防衛のため
に、時価をはるかに下回るTOB価格でフジの要請をいやいや受け入れ
た。しかし腹の中ではフジの経営者の無策無能に怒っている。そのた
め、残りの半分は、産業界のトップトヨタをはじめとして半数が低価格
でのTOB要請に応じなかった。また一部の政治家は、放送事業の許認
可権を振りかざして新規参入者を大声で威嚇した。しかし、これらは使
い古した手、新鮮さに著しく欠ける。

いま、役所の参入規制に守られて権益の上にあぐらをかいていた産業が
音を立てて崩れ始めている。銀行の崩壊がそうだし、まもなく電力会社
の激変が始まる。そして放送業界も例外ではない。これまで系列局の大
手テレビは、参入障壁に守られて独占利潤を享受してきた。すべての上
場企業の中で最高の給与水準を確保し、高収益と無借金の経営を続けて
きた。その頂点に視聴率トップのフジテレビがいたのだ。この日本経済
の仕掛けに、一般大衆は飽き飽きしている。

また、放送産業は中立性と公益性のゆえに規制で守られるべきもの、素
人の若者の侵入を許すべきではないという。しかし、冷静に顧みて、防
衛側が放送法にいう善良な風俗を害したり、公平中立を犯したりするこ
とがなかった企業だっただろうか。国民の限られた資源である電波を預
かる公益企業として、真に社会に有用で有益な放送を行ってきたのだろ
うか。「面白くなければテレビじゃない」「視聴率三冠王の死守」を
モットーとして、結局、視聴者迎合のエンタメ路線をまっしぐらに突き
進んで民間放送業界のトップの地位を維持してきたのではないのか。さ
らにいえば、時勢におもねってファナテックなナショナリズムを煽り、
わが国を周辺諸国の村八分に陥れたネオコン報道の先頭を切ったのがフ
ジサンケイグループの報道姿勢じゃないのか。なるほど、ライブドアに
経営の主体が移ったからといって放送内容の公益的な水準が上昇し、教
育的な分野が拡大し、政治的な公平中立が確保される保証は必ずしもな
い。だが、フジテレビが、もっともらしく中立性とか公益性を言い立て
ると、冗談じゃない「笑っていいとも」と促したくなる。

こう見てくると、このドラマの第一ステージは、ライブドアの勝ち。裁
判の結果をいっているのではない。一般大衆というマスコミにとって最
大のステークホールダーを味方にすることに成功したからだ。
そこで戦いの第二ステージは、放送製作の現場にいる人材集団(従業
員、社員とは限らない)いうステークホールダーの帰趨だ。

今のところ、フジグループの従業員各位は、既成の組織に忠誠を誓って
いるように見える。それは当たり前だ。ホリエモンがテレビで語ってい
る程度のメディアミックスの話では、今の安定と高所得を捨ててついて
いこうとは誰も思わない。しかし、よく考えてみよう。行政に守られて
限られた指定席にぬくぬく座っている既成の業界は、必ずおかしくな
る。大変革の嵐はそこまできている。全部合わせてテレビもラジオも数
チャンネルという時代はまもなく終わる。実はもう終わっている。半世
紀営々とやってきたテレビラジオが数年しか経ってないインターネット
業界の若者たちに脅かされていることが何よりの証拠じゃないか。既存
の組織にあぐらをかいて、結局、「たかが選手」「聞いたこともない企
業」に敗れて消えていった老人と同じ転落の道をたどってはなるまい。

津波がそこまで来ていることは、専門家である関係者が気づかないはず
はない。来るべき時代の姿がどうなるのか、そのときテレビ会社の社員
を含めた関係者がどう対処すればいいのか。それらを明確に、具体的に
示すのは、フジテレビなのか、ライブドアなのか、他の白馬にまたがっ
た騎士なのか。いま問われているのはそこなのだ。それを示した者が最
終ステージの勝者になる。示せば人はついてくる。示さなければ人は去
る。希望と夢の側に人はなびく。

喧嘩と火事は大きい方が面白いと無責任なことをいった。焼け跡には必
ず新しい芽が生き生きと吹き始める。それが歴史の教えるところであ
り、自然の習いだからだ。


石黒 直文(当会理事長)


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編集後記
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                  2005年4月12日

今年はスギ花粉のあたり年(?)で、本州から十勝へ花粉避難ツアーが
開催されたとか。思い出せば花粉症は本当につらい、鼻をカパッとはず
して、水で丸洗いしたい!と思ったこともあった。
全国ニュースで花粉状況が説明されるときも、地図に北海道がない
ことがある。うれしいような、仲間はずれにされてるようなフクザツな
思いもあるが、あんなつらいものはないほうがいいに決まってる。
春の本格的な到来が待ち遠しい北の大地である。

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