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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.41
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 「ふるさと納税制度と北海道」
   
   石黒直文(当会理事長)

  編集後記

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               2007年7月17日

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 自民党が、ふるさと納税制度なるものを、今回の参議院の選挙
マニュアルに取り上げ、政府も2007年骨太方針で検討を約束した。
 いま、地方財政について、二つの不均衡がある。ひとつは言うま
でもなく、地方間の格差だ。一人当たりの地方税で見ると、最高の
東京都と最低の沖縄県では実に5倍の格差がある。わが北海道も
47
都道府県中第34位、東京都の29%に過ぎない。市町村について
も旧炭鉱地区のほとんどが「夕張」状態に陥っている。
 
もうひとつは国と地方の「不均衡」だ。バブル崩壊以降、国と地方の
財政状態には大きな差が生じた。国の長期負債は600兆円、地方の
長期負債200兆円の3倍。この10年間の増え方で見ても地方の80
円に対して国の借金は310兆円と4倍のスピードで増えている。ご承
知のとおり、国と地方のどちらが働いているかというと、行政事務の
仕事の配分は国の4に対して地方は6。つまり、国民から見れば、
国は、「働きが少ないのに借金だけが多い」というきわめてできの悪
い成績になっているのだ。その批判をかわすため、国は「地方にカネ
が行き過ぎている」というキャンペーンを張って、交付税を始めとする
地方への財源移転を何とかむしりとる画策をしてきた。いわば、浪費
癖の抜けない親父が、子どもの食費にまで手をつけようとしたわけだ。
しかし、搾りすぎて、空腹で倒れる子どもが出る現状では、もうこの手
は使えない。
 
そこで「ふるさと納税」。うまいところに目をつけたもんだ。「親父に金は
ない。だから子供同士で助け合え」というわけだ。子供同士で食べ物取
り合いのケンカが始まれば、親父への風当たりは弱くなる。
 確かに、参議院選挙前、にわかに「ふるさと納税制度」が出てきた背
景には胡散臭いものがある。しかし、地方間の不当な不均衡を是正し
なければ、地方が破綻し、日本がおかしくなってしまう。とくにわが北海
道は,道も市町村も危機が目の前に来ている。なりふりかまわず死に
物狂いで工夫をしなければ生きられない。
 
ところで北海道で生まれ、育ち、現在北海道を離れている人、つまりふ
るさと納税の対象となる人口はどのぐらいなのか。これが実ははっきり
しない。人口動態統計によると、1946年から1985年までの40年間の北
海道出生数は394万人、この数字は、これらの人が1人も死なず、北海
道を離れずいたら、いま20歳から60歳までの働き手として北海道に住
んでいるはずだ。ところが実際のこの年代の人口は308万人。差し引き
86
万人が消えた。この人口がそのまま道外にいるわけではない。このう
ち死亡した人もいるからそれを考慮すると約670万人。これが道産子
の道外居住者ということになる。一方、住民移動台帳でしらべてみると、
道外へ転出超過数は、1960年から2006年までの46年間に93万人に達
している。この二つから推計すると、北海道生まれもしくは北海道暮らし
を経験した「北海道人」の道外居住者は6090万人、それにその子や
孫を加えるとざっと100万人ということになろう。
 故郷を離れて活躍している人の働きは,ふるさとにとってきわめて大
きい。数千万のいわゆる華僑が、中国の今日の発展に大きな力を持
ったことはよく知られている。大幅な貿易収支の赤字を抱えながら200
年のアテネオリンピックを見事に成功させたのは人口の2倍を超える2000
万人の在外ギリシャ人の力だった。今後の北海道の発展のためには、
もちろん現在北海道に住んでいる人たちが頑張らなければならないが、
同時に、いま首都圏や中京、関西に住んでふるさと北海道の発展を願っ
ている人たちの力を借りることは決して悪いことではない。
事実、北海道人会や各市町村のふるさと会、さらに北大を始めとする道
内大学、高校、小中学校の同窓会を覗いてみるがいい。ふるさとや学窓
を離れて何十年も経つのに、北海道への熱い思いは決して失われてい
ない。これらの人々を組織化して北海道のために力を貸してもらおうじゃ
ないか。同じ税金を納めるのなら、ふるさとのために使ってもらおうじゃな
いか。そのためには、道庁がこの道外道産子をしっかり把握することが
大前提だ。
 
 実は、この考え方について、私は20056月の本欄で「在東京北海道
領事館〜在留邦人の名簿をつくれ〜」においてその必要性と問題点を
提起した。その基地として東京や大阪の北海道事務所を活用しろという
提言だ。ご承知のとおり、道庁は、永田町の一角に、立派な事務所を構
えている。これまでの東京事務所の役割は、主として中央官庁との連絡
調整であった。いまカネも力もなくなり、北海道を厄介道といってはばか
らない中央官庁の役人と連絡調整することは何もない。今大事なのは、
北海道に熱い思いを抱き、ふるさと北海道のために何かしたいと考えて
くださっている道外在住の北海道人同胞なのだ。
地方自治で道州制が論議されている。道州制とは突き詰めて言えば、ユ
ナイテッド・ネーションになることだろう。北海道国だ。その出先事務所は
それぞれ「在東京北海道領事館」「在大阪北海道領事館」になる。領事館
の第一の仕事は在留邦人の保護。そして在留邦人の力を借りて国益を
増進することだ。そのためには在留北海道人の名前と所在を把握しなけ
れば仕事にならない。民間では、自社のお客様について、しっかりした顧
客情報、顧客名簿が準備されているのが優良企業。闇夜に鉄砲はダメ
会社。確かに、選挙の具合によってふるさと納税の行方はわからない。し
かし、現行制度のままでも寄付の形で税金の一部を北海道のために納め
ていただくことはできるのだ。
ただ口をあけて中央から補助金が落ちてくるのを待つことをやめろ。もうな
にも落ちてこない。道庁は、自らがもっと知恵を絞り、汗をかかなくてはダ
メだ。ふるさと納税制度の話が出ている今がチャンス、伸びる自治体にな
るか、転落の道を辿るかの別れ道だ。

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編集後記
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                  2007年7月17日

この夏自転車で遠出をすることが多いが、一昔前によく道内で見かけた
自転車に乗って真っ黒に日焼けしたいわゆる「チャリダー」や、地方の
JR駅前で寝袋で熟睡する「バックパック族」を見かけなくなった。その昔
北海道は青春を謳歌するための「憧れ」の対象だった。今では若者は
外国を旅するようになり近い将来、北海道ではなく、海外へと移住を志す
旅人が増えるのだろうか。
今移住や地域活性化などにこのご時世行政は予算立てしているようだが、
ご指南役の大学の先生や大手旅行代理店がどうだというつもりはないけ
れど、気の利いた対策を講じたいのであるならば、何もない町にわざわざ
汗まみれになってやってくる我々自転車族やバックパック族になんでこの
町に来たのだとヒヤリングする方が早いような気がするのは私だけか。

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