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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.44
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 創立15年目を目前にして ー 北海道のHは、幸せのH
    
   石黒直文(当会理事長)


  編集後記

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               2008521

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 私どもの私設北海道開拓使の会は、来年創立15年目の年を迎えます。
この間、会員をはじめ多くの方々に支えられてきたことを覚えます。感謝の
ほかはありません。
 
 昨年、私は、西水美恵子さんという「道産子」の、すばらしい女性の話を聞
く機会がありました。彼女は、世界銀行の前副総裁で、現在、独立行政法
人経済産業研究所のフェローです。彼女は、大阪生まれですが、生後間も
なく北海道の美唄に移り住み、地元の小学校、中学校を卒業し、自ら「私は
道産子、ふるさとは北海道」といっています。その後、美唄閉山で東京に移
住、東京都立西高の2年生のときにロータリー財団奨学生に選ばれ、渡米
します。やがて学位を得、プリンストン大学助教授になります。そこで世銀
との共同研究プロジェクトの中でアフリカの貧困の現場を身体で体験しま
す。そのとき、彼女は自分の生涯を豊かな米国の学生のためでなく、世界
の貧しい人々のために捧げたいと決心し、プリンストンを退職し、世銀に身
を投じることとしました。
 
 彼女は、西アジアの開発担当のとき、人生観を一変させる人物に会いま
す。ブータン第4代ワンチュク国王です。ブータンは、人口わずか92万、面
積は九州程度の小さなヒマラヤ山中の国です。一人当りの所得は1,410
ル。日本の25分の一の貧しい国です。しかし、この国民の97%が「自分達
は幸せだ」「自分達の未来には希望がある」と考えているのです。
 
ワンチュク国王はこういいます。「金も成長も大事だ。しかし、それらは国民
の幸せのための手段の一つに過ぎない。最も大事なのは、人々の精神的
な和だ。自己との和、家族との和、地域社会との和、そして国民みんな価
値観との和が重要なのだ。せっかく経済発展を果たしながら、これらの和
を捨て、国民の幸福と未来への希望を失った国は必ずおかしくなる。最後
に滅びる。歴史を見ても周辺を見ても事例はいくらでもある」。国王は、国
が求めるべき政策目標はGDP(国民総生産)ではなくてGDH(国民総幸福)
だと提唱します。彼女は、この言葉を聴いたとき雷に打たれたような衝撃
を受けました。世界銀行がこれまでやってきたことはなんだったのか。彼
女は、金貸し根性と官僚主義に決別することを決意します。そして、人の
幸せのための国際金融人としての生涯を全うします。
 
翻って、日本はご承知のとおり世界で2番目の経済大国です。しかし、日本
人は幸せなのでしょうか。英国のレイチェスター大学の2006年調査による
と、日本の幸福度は世界で90位。2007年の内閣府調査によれば、今後よ
くなると考えている国民は、わずか8%。3倍半の29%が悪くなると答えてい
ます。国民の多くは、未来に希望を失っています。バブル崩壊後、われわ
れは多くのものを喪って来ました。博報堂生活総合研究所はこの間、わが
国は五つの力を喪ったといっています。「大地」の力がやせ細り、「身体」の
力が知力、体力とも落ちています。「倫理」の力が失われ、政治も経済も目
を覆う不祥事が続き、「連帯」の力が家族、地域社会ともなくなり、「均衡」
の力の低下がどうしようもない格差拡大を斉しています。失われた十年と
いいます。確かに一人当りのGDPは、世界第2位から18番目に転落しまし
た。しかし、喪われたものはカネで計られる経済力だけではない。本当に
喪われたのは、国民のそのものの地力ではないかと指摘しているのです。
 
この日本の中で北海道をどうだったのでしょうか。この間、北海道は開発、
開拓、拓殖という名の公共、民間機関のすべてが消滅しました。率直に言
って日本の中で貧しい地域に陥りつつあります。所得も雇用機会も少ない
し、借金も多い。しかし、「北海道が好きだ」という人は、道産子はもちろん
日本全体の中でも圧倒的に多いのです。「できれば北海道に移り住みた
い」と考えている日本人は決して少なくないのです。そのことは、北海道が
カネや所得で計ったランクでは低くても、幸福度ひいては道民の地力では、
決して他の府県に劣っていないことを示しているのかも知れません。
 
今から15年前、まさにバブルが崩壊したときに、北海道開拓使の会を立ち
上げました。これから間違いなく北海道は難しい局面を迎える。国や道に
頼ってものごとを進めていくわけには行かない。みんなが力を出し合い、先
に来たものが後から来るものを助けて、道を開いてきた北海道開発の原
点に戻るべきだと考えたのです。競争ではなく協同です。互助の精神です。
十年以上、この事業を続けてきて、すべてうまくいっているとはとてもいえま
せん。しかし、最近の日本人の精神の荒廃を見るにつけ、私どもの考え方
に間違いはなかったと思っています。
 
北海道は、どういう方向を目指すべきでしょうか。企業誘致も大事でしょうし、
新幹線や高速道路も必要がないとは言いません。しかし、率直に言って、
日本の先進地域の後追いの中には、北海道の本当の未来は隠れていない
ように思うのです。仮に相当の努力を払っても、カネや所得の面で、他の地
域に抜きん出ることは難しい。むしろ、わが国がこの、十五年の間に喪った
もののなかにこそ、北海道が、今後、追い求めるべきものが隠されているよ
うに思うのです。それは北海道に住む人の幸福感です。充実感です。人生
の未来に対する希望です。「北海道に住んで幸せだ。北海道が大好きだ」
と多くの人が考え、人々が「和」を持って、互いに助け合い生きていく地域に
なればいいなあと思います。
 
北海道のHは、幸せ(ハッピーネス)のHだ。北海道は、そこに住む人、これ
から住もうとしている人の幸せを約束する地域だ。胸を張って、そういえる
地域になりたいものだと心から願うのです。 

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編集後記
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                  2008521

エコだし健康的だし税金かからないし便利だし良い所ばかりだ思う自転車
が、遂に6月19日には道路交通法が改正されて、「自転車はやむをえない
場合以外は車道を走りなさい」というのが施行されるらしい。でも現行で自
転車は車道を走れってのはかなり強引ではないかなぁ。

実際ヘルメットかぶってスポーツ自転車で漕いでも車がすれすれ通る車道を
生身で走るのは正直コワイ。政令指定都市でも降雪の関係で道幅が広いと
言われている札幌市内でも、正直車道は自転車が安全に走行できる車幅じ
ゃないし、少なくとも北海道の車のドライバーは自転車が走行するのに全然
慣れてないし、そもそも第一運転免許を持っていない未成年などが車道を走
ること自体無理なんじゃないかと思うのだけれど。

自転車の事故を減らす目的で改正されるという今回の交通法だそうだが逆
に事故が増えることがとても心配だし、札幌駅周辺の意味わかんない駐輪
場の有料化など、札幌では自転車がイジメラレテるような気がしてならない
北の自転車乗りなのでした。

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【編集】太田 明子

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