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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.47
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 日本再生のきめ手―――なぜ日本にオバマは生まれないか
                   石黒直文(当会理事長)

  編集後記

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               2009年5月11日

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麻生太郎はダメだが、小澤一郎もダメ。それなら誰だ。しかし、日本
人の多くは、次の総理に相応しい人は誰もいないと答えている。
 
米国次期駐日大使と噂されているハーバードの未来学者ジョセフ・S.
ナイ教授の近著「リーダーパワー」によると、米国民の三分の二も2005
年の調査では「いいリーダーがいない」と嘆いていたという。しかし、アメ
リカはオバマを生んだ。危機は英雄を生む。彼が真のリーダーかどうか
は、まだわからない。就任以来100日のハネムーンの期間に、数多くの
政策を打ち出したが、必ずしも、まだ十分な成果が現れているわけでは
ない。しかし、内外に難問が山積し、歴史上はじめての覇権交替に直面
した米国の舵取りを、国民の大半が、彼の人格、手腕を信頼し、国の運
命をその手に委ねようとしている。
 
確かに、世界的にも、優れたリーダーが生まれにくくなっている事情はあ
る。

理由は二つ。第一の理由は、国民のニーズが多様化して共通の目標を
見つけることが難しくなってきていることにある。ナイ教授は、リーダーと
は集団が共通の目標を持ち、それを達成するための存在と規定する。
集団が同じ危機感を持ち、それを克服する目標を共有するとき、優れた
リーダーが生まれる。たとえば、戦争や革命によって、スターリン、チャー
チル、カストロ、毛沢東、ホメイニが生まれ、敗戦や深刻な経済危機によ
って、ルーズベルト、ヒトラー、ケマルアタチュルクが生まれた。ヒトラーの
フランス侵入が始まるまで、チャーチルは、大言壮語癖のある古参議員
に過ぎなかった。英国の危機が、20世紀最大のリーダーを生んだ。
 
もうひとつは、情報水準の平準化だ。ほんの半世紀前まで、リーダーに
なれる人は限られていたし、リーダーに関する情報も限られていた。論語
にいう「民は之を由らしむべし。知らしむべからず」。18世紀のポール・バ
レリーはいった。「政治とは一般大衆に関与させないようにする技術であ
る」。しかし、時代は変わった。
ジョン・ネイスビッツは「リーダーの質が下がったのではない。一般大衆の
情報水準が上がったのだ」という。一部の層に独占されていた高等教育、
情報通信、海外旅行などの情報獲得ルートが、大衆のものとなった。私
の母親は、5年前95歳でなくなったが、彼女の最も好きな番組はNHKの
国会中継。あかずに見て、この男はダメ、この人はいいと彼女なりの評
価を下していた。その昔、遠く雲上に仰ぎ見た人物を、町内会のおじさん
を見るのと同じ目線で、せんべいをかじりながら眺めることができる時代
となった。
 
そもそも日本は、カリスマ的なリーダーを持たない国だという説がある。
チャーチルなどを生んだあの時代、日本国民が生んだリーダーは誰だ。
近衛文麿あるいは東条英機か? 一般大衆の圧倒的支持を受けて、戦
争を開始し、国運の責任を負うべきカリスマ的リーダーは、結局、不在だ
ったのではないか。負け戦にリーダーは生まれないとすれば、日本が勝
った日露戦争はどうだ。当時の総理は桂太郎だが、彼が日本の真のリー
ダーだったかはきわめて疑わしい。
山本七平氏が言ったように日本は「空気」が集団の行動を決める。明確
な責任を担うデシジョンメーカー存在しない。家老や番頭、さらに参謀や
軍師といったNO.2NO.3の人材が、その場の空気を感じて物事を決め
る。トップは、それらの上に乗っかって、決定事項を事後承認していれば
いい。事前にあれこれ口出しするトップは大物じゃない。これが幕藩時代
から今日に続く日本の行政組織や企業経営の意思決定方式だったのだ。
世の中がうまくいっているときはそれでいい。
 
いま、日本は大きな危機を迎えている。これは一面不幸なことだが、リー
ダーを生む最大のチャンスでもある。近代日本で、新しいリーダーが雲の
ように輩出した時期が二度だけある。既存の壁がぶっ壊れた明治維新と
敗戦の後だ。この二つはいずれも日本の危機だったが、既成システムを
ぶっこわし、抑圧されていた階層の若者に活躍の舞台を与えたチャンス
でもあった。
いま日本を覆っているのは単なる金融危機ではない。金融危機や経済危
機はやがて終わるだろう。そうではなくて本当の危機は、国を覆う閉塞感
だ。社会の下層に位置付けられた者たちの前に、さまざまな既存の社会
の組み立てが、乗り越えがたい壁として立ちはだかっている。国民の大半
が「わが国に次のトップが誰もいない」と嘆いているのは、残念なことに、
その壁を認識し、それをぶっ壊す勇気を持ったリーダーがいないといって
いるのだ。
 
オバマのキーワードはチェンジ。米国民の圧倒的多数派は、ケニア出身
の黒人とプアホワイトとの間に生まれ、ハワイとインドネシアで育った47
の青年上院議員を大統領に選んだ。それは、米国民が、国内的にも外
交的にも挫折感を味わい、米国を覆う、ぶあつい壁を根本的にぶっ壊し
てチェンジしなければ、米国の未来はないと実感したからだろう。そこで、
オバマは未来を語っている。GMやシティバンクなどの救済に視線が集
中しているが、前政権との根本的な違いは、世界平和と国民の未来に
対する革新的な方向性なのだ。
 
いま、日本人は、心からリーダーの出現を待ち望んでいる。それは、既
存の壁をぶち壊す勇気を持ち、未来を語れる人物だ。官僚が思いつき
でかき集めた財政支出をばらまいてよしとする人物でもなければ、政権
交代だけを唱えて未来の設計図を示さない人物でもない。既成のシス
テムにあぐらをかき、一年で次々に世襲の仲間うちでのたらいまわし劇
は、もう結構だ。いま日本を除く世界の主要国リーダーが40代と50代の
前半で占められているのに、70近くの老人支配もそろそろ卒業すべきだ。
 
戦後60年間、ほぼ一貫して一党が支配し、そのリーダーが世襲によって
受け継がれている国は、日本と北朝鮮しかない。オーストラリア国立アジ
ア太平洋研究所のG.マコーマック教授は、日本と北朝鮮はお互いに憎
み合っているのに、いくつかの点で不思議な共通点があると指摘している。


石黒直文(当会理事長)

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編集後記
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                        2009年5月11日


今年のGWはよいお天気が続いたので、野に山に遊びに行かれた
方も多いと思いますが、北海道はちょうどお花見の季節。そしてお
花見と言えばジンギスカン!

何故だか道産子の皆さんは桜の花を見ると花の下で火をおこし
肉をムショウに焼きたくなるらしく、更に太っ腹なことに花の名所は
その時だけ直火OKとなり、市内の公園からは肉煙がモクモク。
近くを通るだけで焼いてるなと匂いでもスグわかる。

何故ジンギスカンなの?とか、煙があたって桜がカワイソウとか北海
道に住んでしばらくは思ってたけど、基本外で肉を焼くのは楽しいから
まぁいいじゃないかっ。

ちなみにジンギスカンパーティのことをどさんこは《ジンパ》と呼ぶ。ジンパ
やろうかと神奈川県出身者に言うと「ジンパって自転車の何かですか?」
と聞き返されてしまった。
私も北海道生活長くなったなぁ。
 
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