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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.50
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  これから半世紀、世界は史上最高の高成長時代に入る
〜日本は開国か、攘夷か。北海道は?〜
 
                    
                   石黒直文(当会理事長)

  編集後記

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               2010年3月9日

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 この表題を見て、人はびっくりするか、冗談じゃないと怒り出す
だろう。
つい最近まで、人々は、百年に一度の金融恐慌とか、経済危機と
いっていたのではなかったのか。確かに、このところ景気や株価
には回復の兆しが見られるから、百年に一度の経済危機は大げ
さだったかもしれない。しかし、雇用や企業の設備投資に回復の
兆しは見られない。まだまだ企業マインドは、二番底を心配してい
る向きのほうがずっと多い。話を面白くして、マスコミ受けをねらう
のもいい加減にしろという声が聞こえてきそうだ。
 
 1990年以降、わが国は「失われた10年」とか「20年」といわれて
きた。日本から世界を眺めると、世界全体も1997年の金融危機、
2001
年の9.11事件、2008年のリーマンショックと続いているから、
世界全体も日本ほどじゃないが、ぱっとしない1020年だったの
じゃないかと思いがちだ。
 ところがどっこい、こんなに高成長の時代はなかったのだ。この
1990
2008年の18年間の世界全体の人口増加率は1.34%、こ
の間、世界のGDP1990年の22.1兆ドルから2.7倍伸びて60.6
ドルに達している。つまり年平均5.8%の成長率で伸びたことにな
る。OECDの開発センターが、1820年から1992年の172年間の世
界全体の成長を調べたところによると、この間の人口増加率は
0.95
%、GDP成長率は2.17%であった。(コーリン・クラークの推計
によると、キリスト誕生から1800年までの人口増加率は、0.01%以
下とされる)つまり、ひとりわが国だけが取り残される中、世界全
体の成長率は、これまでの172年間の3倍近いスピードで伸びた
ことになる。日本以外の世界の人々、とくに途上国の人々は、押
しなべて、こんなにうまくいった時代はなかったなあと思っている
に違いないのだ。
 
 さて、これから半世紀の世界経済はどうなるか。先のことは誰に
もわからない。だが、確からしい数字がたった一つだけある。それ
は、人口とその年齢構成だ。たとえば、2050年のわが国の後期高
齢者が何人になるかはほぼ確実にわかる。2050年に75歳以上に
なる人は、現在、もうすでに35歳以上になっている。この35歳以上
の中高年齢者の平均余命もほぼ確実に推計できる。また、それぞ
れの国の人口がどの位で、そのうち生産年齢人口がどの位の割合
を占めるのかも、ほぼ確実に見通すことができる。
 
 国連の人口統計部が、1950年から2050年までの人口の実績と
見通しについて2008年改訂版(World Population Prospects 2008
)を発表した。これによって国別、地域別、先進国、途上国別に、
1950
年から2050年までの100年間について人口総数、出生率、死
亡率、年齢構成の実績と見通しが入手できる。これを見ると面白
いことがわかる。これまでの国別、地域別の経済成長と年齢別人
口構造との関係が明確にわかるし、未来が予測できる。
 
 人口ボーナスという考え方がある。貧乏人の子沢山で悩んでいた
国が、あるとき、なんらかの要因で出生率が急激に下がったとしよ
う。この国は、ほぼ40年に亘って極めてハッピーな高度成長を謳
歌することができる。これが人口ボーナスだ。
戦後の日本がそれだった。1950年の人口構成は大量の団塊の世
代を底辺とするきれいなピラミッド型だった。この年の従属人口指
数(65歳以上の老年人口プラス14歳以下の年少人口を1564
の生産年齢人口で割った比率を言う)は67%だった。この年から
始まった出生率の急激な低下は従属人口指数の急降下をもたら
す。日本のハッピーな時代が始まったのだ。働き手が増えて扶養
すべき子どもの数は減る。老人はまだ多くない。団塊の世代が、
働き始めた70年代から40年間、人も羨む高成長を遂げた。 低い
従属人口指数は、一般的に三つの点で経済成長に確実なプラス
効果を持つ。
1.   
労働力化率の上昇=子どもに手がかからなくなると母親が職
   場に復帰できる
2.   
貯蓄率の上昇=働き手が増えて扶養家族が減れば、当然貯蓄
   が増える
3.   
教育水準の上昇=少ない子どもには高い教育水準が与えられる
これが日本の高度成長だったのだ。しかし、よいことはいつまでも続
かない。子どもの数を減らして成長の果実を手に入れたわが国は、
やがてそのツケを払わなければならない。団塊の世代がいっせいに
定年を迎える2010年以降、従属人口比率は急激に上昇して2050
には100%近くに達する。これから日本は間違いなく苦難の時代が
始まる。
 
日本は息切れしたが、世界経済の好調な進軍は止まらない。日本
に代わって人口ボーナスの高度成長路線に乗って、世界の高成長
の世紀を引っ張っていくのは中国である。1978年の一人っ子政策の
効果が出始めた1990年代以降、人口従属指数が50%を切り、以後
40年間、2030年代半ばまで世界経済の機関車の役割を果たす。
中国が、高齢化社会に突入するころ、中国に代わって選手交替を
するのはインド、ブラジル、インドネシア等の国々である。インドは、
2020
年代に従属人口指数が50%を切り、その幸せの数字は2050
年代いっぱい続く。中国、インドを中心とする大軍の後を追って世界
の舞台に登場するのがアフリカ、中近東、南米の国々である。
 
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世紀から20世紀の前半にかけての西欧および日本の帝国主義
時代が終焉を告げた1950年以降、世界経済の成長時代が始まっ
た。不思議なことにその成長を最初に引っ張ったのは、敗戦国で
あった日本とドイツであり、これらの国に蹂躙された周辺の国々で
あった。しかし、それらの国の人口は、せいぜい2億。世界人口の
数%に過ぎなかった。だがそこで火がついた成長の炎は、やがて
中国、インドといったそれぞれ十数億の人口の国を巻き込み、や
がて遅れていたすべての国が燃え盛ることになる。国連の人口推
計によれば、現在3人を超えている開発途上国の特殊合計出生率
(
女性の生涯出生数)は、平均して2050年には2.05人に落ち着くと予
測している。つまり、今後の半世紀の間にほとんどすべての途上
国が、子どもの数を減らし、成長を選択して、人口ボーナスのハッ
ピーな時代に突入すると予言しているのだ。
 
われわれは、ひょっとすると二つ勘違いをしているのではないか。
ひとつは世界経済とか世界景気を語るとき、米国と西欧、日本を
加えた先進国G7だけを漠然と頭に描いていた。確かに、2000年ま
で、先進7カ国の人口は11%に過ぎないが、GDPは世界の23
占めていた。しかし、ここから舞台は一変する。2009年に先進7
国の世界全体に占める割合は半分を切る。そして1969年以来40
年間世界第2位を占めてきた日本のGDPは中国に譲り渡すという
象徴的な出来事が起きるのだ。
もうひとつは、これまでとこれからでは、世界経済の運動量のケタ
が違うことを認識しなければならない。つまり、これから世界という
とき、当然のことながら地球上に住むすべての人々を頭に思い浮
かべて語らなければならない時代になった。量が質に転化するの
だ。これまで世界をリードしてきた先進国の人口は世界の16
過ぎない。つまり尻尾が犬を振り回していた。これからは胴体部分
56が動くのだ。しかもこの部分の人口は、その後30億増加し
て、2050年には世界全体の9割近くを占めることになる。世界の動
きのダイナミズムは、これまでと全く次元の変わるものになる。
 
はじめに返って考えてみよう。これからの半世紀、世界は史上最
高の高度成長期に入る。
このことは、人口予測から見てほとんど間違いない。ただこの主役
は、残念ながら日本や西欧諸国ではない。 この人類の9割を占め
る大軍団の空前のダイナミックな行進を前にして、先進国が取る
べき道は二つある。道端で何もしないで行進を見送るか、進んで
その渦の中に飛び込んで行進に加わるかだ。
 米国は、今後50年間に2億の人口増加を期しているが、その半
1億はラテーナと呼ばれる周辺中南米国から移民である。同じ
時期、EU2030%はアフリカ、中近東からのイスラム教徒で
占められると見られる。
 これからの先進国としての日本人が、受験を迫られる共通一次
テストは、制度的にも、精神的、感情的にも、この時代の変化を
受け入れられるかだ。EPAFTA、外国人地方参政権、多重国籍、
難民受け入れ、留学生、看護士、介護士問題等々数え切れない
ほどの制度的バリアがある。それに加えて、日本人の排外感情、
外人(内の人でなくて外の人)思想がなかなか乗り越えられない。
確かに、民族間の垣根は、どの国だってそれほど簡単なもので
はない。しかし、だが時間をかけ、血と汗を流してその制度的、
精神的垣根を越え、受け入れを選択してきた国が勝ち組となれる。
 
いま、われわれは百年に一度とか、二百年に一度の選択の危機
に遭遇しているのかもしれない。危機とは、文字通り、没落の危
険と繁栄の機会が合わさったタイミングだ。黒船が開国を迫った
とき、わが国の世論は、まっぷたつに別れ、大きな混乱に巻き込
まれた。しかし、われわれが攘夷に大きく振れた思想を克服して、
開国に向かったとき、新しい時代の坂を越えることができた。
 
 北海道も同じような選択に迫られている。われわれ私設北海道
開拓使の会は、これまで日本人の移民、移住だけを考えてきた。
攘夷を廃し、開国のときが来ているのかもしれない。
 

石黒直文(当会理事長)

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編集後記
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                        2010年3月9日

NPO私設北海道開拓使の会が主催したオホーツク地域での
移住者による移住促進イベント「暮らすべ語るべオホーツク」の
の報告書が出来上がった。
  
イベントの最後にはオホーツク地域に移住した4名のトークライブ
を開催、そのトークライブは移住者の生の声がたくさん詰まった
楽しい話が盛りだくさん。そしてコーディネーターが締めに今の
行政スタンスの移住支援について語った言葉も。
  
『「税金が入るから」「小学校が閉校にならないから」という「持参
金目当て」の移住政策は「来てやった」という移住者も来ることに。
移住者には「お邪魔させていただく」というお気持が大事だし、
そういう情報を発信するのが開拓使の会の役目かもしれない。』

結構ズバッとエエ事言ってるやん、と思ったら・・・私やん。
しっつれいしました。
  
と、言う事で、当日のイベントの内容が網羅されているスンバら
しい報告書を会員さんに配布。会員の方以外でもご希望者には
送料ご負担にてお送りしておりますので、お問い合わせはまで
お気軽にどうぞ〜。
 
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【編集】太田 明子

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