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私設北海道開拓使の会メールマガジン『異論・暴論・創論』Vol.7
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  北海道が好きだから、あえて苦言を呈する。
                   (匿名希望) 瀬戸の花嫁

  編集後記

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                     2003年6月16日

 □■□  北海道が好きだから、あえて苦言を呈する。  ■□■

 (匿名希望)瀬戸の花嫁
 【自己紹介】
  1975年、北海道札幌市生まれ。28歳。大学では経済学を専攻し、
  北海道経済の発展のために必要なものを探求し、修士論文にまと
  める。大学院終了後はベンチャーキャピタルに就職し、首都圏の
  ベンチャー企業へのファイナンスを担当している。

苦言1 「北海道基準ではなく普遍的な基準で考えよう」

北海道で生まれ育った私は、大学に進学するまで世界のすべてが北海道
であり、北海道こそがすべてにおいて最高であると信じていた。しか
し、大学・大学院への進学を機に、ワールドクラスで活躍されてきた諸
先輩から刺激を受け、またアメリカへの留学を機に、世界の中の日本、
世界の中の北海道を痛烈に認識した。また、現在東京で勤務しながら客
観的に北海道を概観しているが、北海道の「良さ(生活環境・自然資源
・オープンな気質)」を評価しつつも、「悪さ(ビジネスマインドの低
さ・もたれあい気質・補助金依存症)」も評価している。上述の通り、
北海道で何ら刺激を受けて生活をしていなければ、また、折に触れ北海
道以外で活動をしていなければ、私は現在のような考え方にならなかっ
たであろう。

私は、東京で1年、ベンチャー企業経営者と毎日今後の事業について話
し合ってきた。日々、新しい考え方、モノの見方に触れることができて
刺激的である。仕事柄、経営者との面談であるから、経営的な話題がほ
とんどであるが、時には経営者哲学に触れることができる。それらが素
晴らしいか素晴らしくないか、正しいか正しくないかはあまり重要なこ
とではない。重要なことはたくさんの考え方に触れ、普遍的な基準を自
分の中に作り上げることであると思う。歴史上の人物に学ぶもよし、異
文化に触れ刺激を触れるもよし、とにかく北海道から「心理的」に離
れ、個々人が作り上げた普遍的な基準で議論を展開させる必要があると
強く感じている。

苦言2 「補助金の意味をもう一度考え直してみよう」

民間企業がある事業に投資した場合、必ずその投資効果を測定・評価す
る。私は現在ベンチャーキャピタルに勤務しているので、毎日入口(資
金投下)と出口(資金回収)について考えている。さて、公的機関の補
助金事業について鑑みると、入口の審査や提出書類は膨大な時間と労力
を費やしている。しかし、一度資金を投下した後は何のフォローもして
いないように見受けられる。一方、補助金を受け入れる側の企業も、行
政側が何ら口を出してこないので、極端な言い方をすれば補助金を勝手
気ままに利用している。

市民の大切な税金は、どこでどのように運用されているか、ほとんど実
態がつかめない。むしろ補助事業に携わる役人は、配賦資金(あくまで
も税金)を背景に、申請者に対して大きな態度をとっている。また、申
請者側も税金を使って何か地域のために役立つ事業を展開しようとして
いるにもかかわらず、資金確保のために行政に対して卑屈な態度になる
ケースも少なくない。この構造はおかしい。補助金を配賦する側の行政
担当者も、補助金を活用して地域に貢献しようとする申請者側も税金を
手にしていることを認識し、襟を正して補助金を活用していただきた
い。

行政担当者は、補助金配賦によってどのくらい配賦効果があったのか計
測し、公表するべきである。仮に補助金配賦によって負の効果を垂れ流
しているのであれば、即刻補助金配賦を中止すべきであり、補助金停止
によって浮いた資金を他の投資に振り向ければ良いのではないだろう
か。補助金の配賦効果の測定は極めて困難な作業であると想定される。
しかし、補助金が税金であると認識すれば実行せずにはいられないであ
ろう。

また、申請者側も補助金は税金であることを認識し、補助金を使って地
域に貢献できる事業にその資金を投下するべきである。補助金は受け
取ったが、何ら地域貢献していないのであれば税金を使うことは許され
ない。現在、私は東京のベンチャー企業に毎日足を運んでいる。東京の
ベンチャー企業経営者は、「補助金を受けること=自分は利益を出せま
せん/スピードが遅い会社です」という認識をもっている。もちろん、
先端技術の開発や莫大な研究開発を要する分野の企業は、公的機関から
「補助」してもらっているが、多くの企業経営者は将来的には補助をは
ずしていかなければと考えている(先端的な開発を行なっている大学発
ベンチャーの中には、補助金を受けて当然と考えている経営者=大学教
授もいるが、このような補助が当たり前の風潮が広がることを私は危惧
している)。

苦言3 「サービスに対するコスト意識を高めよう」

日本においてサービスは無料と解釈するのが一般的である。しかしサー
ビスには何らかのコストが発生しているのであるから、サービスに見合
う対価を支払わなければならいと考えるのは当然である。

首都圏のベンチャー企業経営者に何らかの情報提供(サービス)した場
合、何らかのアドバイスをした場合、ベンチャー企業経営者の側から対
価の申し出をしてくるケースが多い。ベンチャー企業であるから、資金
的余裕が必ずしも潤沢にはない状態にもかかわらずである。彼は、サー
ビスに対して対価を支払うことは当然のことと考えている。また、サー
ビスの提供者側も当然コストを回収しようと対価を求める。

北海道では、一部を除いてサービスに対するコストを支払う習慣が根付
いていない。その背景には何があるのであろうか。単純にコストを支払
う余裕がない企業体力なのか。サービスだけを盗み取ろうとする悪い心
が根付いてしまっているのであろうか。サービスの提供者側にサービス
を提供すことが収益機会であるという認識が薄いからであろうか。ボラ
ンティア精神に満ち溢れているためだろうか。私にはその理由はわから
ない。
誰かが何かをした場合には必ずコストが発生し、その対価を支払う習慣
が根付くと、人間関係が殺伐としたものになると危惧するという意見が
ある。私は北海道のビジネスシーンにおいては、現在よりも殺伐とした
関係に近づいた方が良いのではないかと考えている。支払いが発生すれ
ば、サービスの提供者側もより良いサービスの提供を模索するようにな
る。また、サービスを受ける側もコスト意識があればコストに見合った
要求するようになる。つまり、金銭の移動が発生すれば、ビジネスマイ
ンドが醸成され(よい意味でズル賢くなる)、さらには競争的環境を生
み出す糸口になるのではないかと考えるためである。

苦言4 「競争的関係のない共存は単なる『なれあい』である」

東京は企業の数が多く、人間の数が多いため、その中で生き残るために
は自然と競争に参加し、勝ち残っていかなければならない。しかし一方
では、同業者がより強くなるために会合を持ち、技術情報の交流会をし
ている。すなわち競争環境の中での共存を実践している。

私は、ある経営者に競争環境で生き残るために技術開発しているにもか
かわらず、同業者の中で技術情報を流通させている理由を尋ねたことが
ある。その経営者は、業界のレベルが上がることを期待しているためで
あり、切磋琢磨した方が自社の利益にもつながるとコメントした。私
は、技術情報を独占した方が自社の利益になると考えたが、その経営者
は「競争を前提に、その中で共存していけば、また競争環境が整備さ
れ、切磋琢磨でき新しいものを開発できる」とコメントした。

さて、北海道では競争環境を生み出そうとしているであろうか。現実的
には競争環境は存在せず、切磋琢磨の機会はほとんどないのではないか
と感じている。これは企業の絶対数が少ないことにも起因しているが、
そもそも競争を好まない体質になってしまっていることも大きな原因で
あると考える。その理由は、北海道、特に札幌にはいくつも似たような
業界団体が存在するが、その団体が本来の活動をしているというより
も、団体の末期的な症状でもある「サロン」化しているケースが多く見
られるためである。

単に競争だけに疲弊し、何も残らないのでは競争は有益であると言い切
ることはできない。しかし競争環境の中で共存関係を生み出せるのであ
れば、相互の刺激による上方へのスパイラルが生み出される。競争環境
を前提としない共存関係は単なる「もたれあい」の構図であり、その中
からは何も生まれないどころか、悪害にしか過ぎない。

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 編集後記
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このメールマガジン創刊以来、半年が経過した。例の「小泉内閣メール
マガジン」は創刊100号だそうだが、こちらも「感動したっ!」と言わ
れるようなマガジンを目指したいものだ。『異論・暴論・創論』と銘打っ
ている割にはどれも「正論」のような気がしてしまうのは、実は社会の
「常識」の方がおかしくて、「マイナス×マイナス=プラス」になるよう
なものかもしれない。というわけで、「北海道の非ジョーシキこそ実は
世間のジョーシキ(かも)」「求む、アナタの異論、暴論、創論」
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