新年ごあいさつ

 明けましておめでとうございます。
 まずもって、皆様にはそれぞれご家族お揃いで輝かしい新春をお迎えのことと心からお喜び申し上げます。

 ここで昨年一年を振り返っても見ましょう。それはいくつかの新しい時代への切り口が出てきたように思うからです。

 
【6次産業化の実際例を見る】

 昨年夏、太田理事とコープさっぽろの小向さん(この人も大阪からの移住者です)の企画で恵庭の余湖農園へのツアーを行いました。農園の経営者の余湖智さんは、旧満州からの引揚者で、故郷の佐渡島から北海道の開拓農家として移住しました。大変な苦労を重ねたのち、現在、55fの有機栽培の農場から、加工用トマトを初め数多くの有機野菜を作り出しています。農園を農業実体験の観光農場として開放し、地元だけでなく全国各地への通信販売を行い、さらに地元の食品工場と提携して農産物の加工製造工場でもあるのです。

 つまり、農業、製造業、販売サービス業と一次、二次、三次産業を貫く 6次産業として地元経済に大きな貢献をしています。私どもが社長にお目にかかって感銘を受けたのは、国内にとどまらず海外からも実習生を受け入れて、やる気のある人材の巣立ち、独立を資金的にもバックアップしているところです。われわれ開拓使の会の志が、まさに具現している現場を見る思いでした。

トマト収穫体験ツアー
トマト収穫体験ツアー
【涙を流して聴き入った忘年会】

2014年 忘年会風景
2014年 忘年会風景

 昨年の暮れの12月13日(土)に恒例の忘年会を開催いたしました。突然の解散総選挙、さらにアイドルグループ「嵐」が札幌ドームで5万人集めてのコンサート当日ということでホテルも飛行機も超満員。札幌以外からの方には大変ご迷惑をおかけしました。しかし、近藤事務局長のご努力で、26名の方々に全国から集まっていただき、二次会を含めて、感動的な忘年会となったことを皆様にご報告したいと思います。

 道産子もよそ者もみんな北海道大好き、北海道の人はみんな心優しい。それは間違いないところですが、大変残念なことに、北海道は職を求める人にとっては、日本で一番厳しい地域かも知れません。今回の忘年会では、それぞれの今日までの血と涙の率直な苦難の行程を伺うことができました。その中にあって「先に来た者が後に来た者を助ける」という開拓使の創業の精神に触れて勇気を奮い起こした経験を聴いて、われわれ先に来た者の責任の重さを、再び想い起したことでした。


【地域創生の先駆けとしての北海道】

 総選挙の洗礼を受けた安倍内閣の1丁目1番地の政策は、地方創生です。昨年夏、地域創生の先進事例として、ニセコ町が国際的観光開発で、下川町がバイオマスで、北見の田沢由利さんが在宅テレワーク事業で取り上げられました。また、今回の忘年会では、ベトナム・ホーチミン市の大型ショッピングセンターでの北海道ブランド食品の成功の報告を聞きました。いくつかの創生の芽生えがあります。北海道にはカネも力も十分ではありませんが、知恵と熱意だけはどこにも負けないようにしたいものです。

 2015年乙未(きのとひつじ)の年、皆様のご健康と合わせて、皆様の知恵と熱を結集し、稔り多い年としたいものと心から念じています。

平成27年 元旦

NPO法人 私設 北海道開拓使の会 理事長 石黒直文