明けましておめでとうございます、社員・会員の皆様には、お揃いで輝かしい新春をお迎えこととお喜び申し上げます。旧年中は、当会の活動に対し、さまざまなお力添えをいただき、本当にありがとうございました。心から御礼申し上げます。本年もいろいろなことが起きると思います。どうか、変わらずご支援ご協力くださいますようお願い申し上げます。
過ぎ去った昨年を振り返ると、北海道にとって嬉しいことがいくつかありました。待ちに待った新幹線が北海道上陸を果たしましたし、ファイターズの10年ぶりの優勝、そのパレードに14万人の札幌市民が駅前通を埋めました。また、コンサドーレも、J2で優勝、念願のJ1復帰を果たしました。しかし、JRの廃止提案や思わざる台風襲来など、決して喜んでばかりいられない年でもありました。
一方、目を世界に転じますと、戦後70年以上にわたって、人類が正しいと信じて築いてきた理念が音を立てて崩れていくような不安と不信が広がっています。オックスフォード辞典が発表した2016年を表す言葉は”post-truth”でした。うまい日本語訳は見つかりませんが、真理は死んだ。真実は消された。理念なき時代の始まりだったというのです。
確かに、日本を含めて世界の人の心が明らかに変わり始めています。ある米国の評論家は、数年前まで満遍なく全体に観客で埋まっていた外野の左翼席に、いま空席が目立つ。むかし左翼席を埋めていた観客は右翼に移り,そこにも入れない観客が右翼のさらに右側に陣取って怒り、叫ぶ異様な事態になっているというのです。
20世紀の前半、人類は、二つの世界大戦を通じて女性や子供の別なく1億人近い人間が殺されるという悲惨な経験をしました。もう戦争はやめよう、植民地を解放し、人種差別を廃止しよう。自由に国や宗教を越えて、人や物や資本が動ける制度を創ろう。そういう理想に向かって歩きだしました。もちろん、理想が直ちに現実になるわけではないが、少なくとも、この70年余、方向だけは失うことなく進んできたように思います。だが突然、その理想が消え、ポピュリズムやファッシズムの熱狂に包まれた1930年代の幻影が顔を出したのです。しかし、われわれは、ただ現実を前にして立ちすくんでいるわけにはいきません。必ず、新しい道は開けると信じたいものです。
北海道の未来を考えて見ましょう。私どもの私設北海道開拓使が発足したのが1994年、あと2年たった2019年には25周年を迎えます。国の北海道開拓使の設立が明治2年、1869年、2年後には150周年の記念の年になります。率直に言って、われわれの前にある現実は明るいものばかりではありません。しかし、150年前の北海道も 25年前のこの会も、ほとんどゼロから出発したのです。2年後に迫った節目の年に、もう一度、新しい気持ちで歴史の原点に立ち、未来を切り拓く年にしたいものだと考えています。
2017年が、皆様にとって大きな幸いと勇気に満ちた年となることを心から念じています。
平成29年 元旦
NPO法人 私設 北海道開拓使の会 理事長 石黒直文
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