新年ご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。皆様には、お揃いで輝かしい新春をお迎えのことと拝察し、心からお喜びを申し上げます。

 あのベストセラーの「銃・病原菌・鉄」の著者、有名な生物科学者で歴史家のジャレド・ダイアモンドが、日本の将来について首をかしげながら、次のように語っています。19世紀の黒船来航、20世紀前半の惨めな敗戦、1970年代の二度にわたるニクソン・ショック、そのいずれも、日本は見事に危機を切り開き、逆に世界を驚かす発展の契機としました。

 ところがこのほぼ30年、日本は、漫然と、ほぼゼロ成長の喪われた年月を送っているようにみえます。彼は、この1世紀半、あれほど困難な危機をのりこえた日本が、なぜ何も解決しようとしないのだろうか。日本が直面している問題点は次の5つです。@巨額の国の借金、A世界最速の老齢化、人口減少、B男女差別、移民鎖国、C環境、資源問題、D対アジア外交問題。これらの問題の存在は極めて明白で、かつ解決方法もはっきりしている。事実、日本と同じ問題にぶつかっているいくつかの国では、着実に解決への方向へ歩み始めています。

 私たちが、この会を立ち上げた1990年代の初め、バブル期の人手不足を引きずっていましたし、やがて北海道も、日本全体も、深刻な人手不足の時代を迎えることはわかっていました。北海道開拓使の会は、そのために北海道に移り住みたい、北海道のために働きたいと思っている人々の支えとなる志の基に創設しました。その対象は、明治の初年、開拓使がケプロンやクラークなどの優れた人材を広く世界に求めたように、日本人に限る必要はないと考えていました。
 昨年、副理事長のdGIC中村社長の協力を得て、同社に働いている外国人の方々との座談会を開催しました。すでに「かわらばん」でお読みになったでしょうが、ロシアを含めて近隣のアジアの若者が、北海道に期待と希望を強く持つことがよくわかりました。

 今年は、ご承知のとおり北海道にとって150年目の年にあたります。また、私ども私設北海道開拓使の会にとっても25年目を迎えます。それはまた、日本にとっても、わが北海道にとっても、従来どおりのやり方ではダメだ。新しい、若い力で挑戦することが強く求められている年でもあります。幸い、今、北海道の各地で、若い元気な力が次々と生まれつつあるのを感じます。
 北海道150年のスローガンは 「その先の、道へ。北海道 Hokkaido. Expanding Horizons.」です。このスローガンのように私たちも、着実に1歩を踏み出すことを期待し、祈念し、自ら誓ってご挨拶といたします。
平成30年 元旦

NPO法人 私設 北海道開拓使の会 理事長 石黒直文