札幌集会2000 潜入レポート

第一話

札幌集会風景1  ときは20世紀最後の年5月21日、日曜日の午後5時。世間の皆様が1時間後に迫ったサザエさん放映に間に合わすべく、日曜日の夕食定番のカレーライス作りに追われている頃、札幌市中央区のかでる2・7に続々と集まる人々。
 その人相風体年齢性別様々にして、一様に7階の特別会議室を目指す。一体、密室でなにが行われようとしているのか。ただならぬ雰囲気の中、記者は潜入取材を敢行した。

 なにしろ秘密結社「ホッカイロ買いたくてしょうがない会」、じゃなかった「北海道開拓使の会」の総会である。記者の素性がばれれば、簀巻きにされて大阪湾に放り込まれるは必定、いやここは札幌だから豊平川に放り込まれて、来年遡上してくる鮭のエサになるのがオチ、ん?遡上中の鮭は餌を食わぬか、まあいい、とにかくばれぬよう細心の注意を払いながら、受付にて500円を支払い着席する。会議室はほぼ満席、ざっとかぞえると50名を越す人数である。

 まず最初に、この会の頭目とおぼしき石黒代表幹事が挨拶。NPO法人格を得るに際し、多くの会員がNPO社員として参加することを希望し、あわせてみなが汗をかくことで会が成り立っていることを強調。さらに、移住希望者のための活動に加えこの北海道のためになる活動もしていこう、と提案。

 むむ、秘密結社の頭目にしては殊勝な発言、この北海道のためになる活動も、とは。記者その発言にいたみいりつつも、移住者にして北海道のために役立とうとは、一体この集まりはなんなのだ、なぞは深まるばかり。
 続いて、昨今の活動に話が移った。いよいよこの会の実態が暴かれるときが来た。固唾をのんで待ち受ける記者の眼前で繰り広げられた光景とは・・・。


札幌集会風景22 第二話

   昨今の活動実績、今年度の予算などについての一通りの説明を聞く限りでは、どうもこの会は、北海道への移住者が、移住者希望者のために、また移住者自身のために、様々な活動をしているらしい。さらにその活動が見据える将来には、北海道の行く末にも絡んでいこうという構想がある。
 こればかりではない。驚いたことに、北海道の地元企業数十社が一枚どころか何枚もかんでいることも判明した。
 マフィアもかくやと思わせる暗躍ぶりである。あなたの隣にひそむかもしれない開拓使の会関係者。お気をつけあそばせ。

 続いて活動の単位である委員会ごとに活動報告と勧誘がなされる。どの発表者も身振り手振り、なんとか一人でも多くの参加者を、己が傘下に引き入れようと必死のパフォーマンス。
 ここで述べられた具体的な活動実績・方針を聞くにつけ、この会はこれからの北海道にとって隠然たる一大勢力になるに違いないと記者は確信した。なにしろ、イベントとツアーの二大委員会を、東京三菱銀行よろしく合併させ、北海道でのイベントに日本各地から参加者を募り、ホームページとかわらばんなる広報誌をもって、その思想をあまねく徹底するというのである。さらにはフォローのため、移住者の得意分野を募り、会の人材銀行ともいうべき相談員登録を行う構想も動き出している。

札幌集会風景3  それだけではない。会員増強委員会、金儲け委員会(原文ママ)なる新委員会を発足させ、人的・資金的基礎を固める魂胆でもある。
 また委員会活動費を個人負担しないようにと、予め各委員長に活動費を渡しておくとして、握りしめた封筒からゲンナマをちらりと見せるなど、事務局もなかなか人心掌握の術に長けている。

 この後、例年になく活発(だったらしい)な質疑応答を経て、委員会ごとの打ち合わせに入った。各委員会のテーブルには高価な酒(缶ビール)と目もくらむようなごちそう(乾き物おつまみ)が並べられる。記者は委員会の内容よりも、最も飲み食いしやすそうなテーブルに着席するが、他の会員は食べるよりもしゃべる方に口を使っている。なんともったいないことだ、余ったらもらって帰るぞ。

 この間、各委員会でなにが話されたのかは知らぬ。ただ、宴もたけなわの打ち合わせに強引に幕を引いた後、各新委員長の口から発せられた施政方針演説を聞く限りでは、より具体的な活動をより熱い想いをもっておこなう、という意気込みをひしひしと感じた。そのはずみ車としての役割を、この札幌集会が果たしたのは間違いないようだ。
 もし一年を通してこの勢いを保つシステムを備えるなら、その勢いが全国の会員に広がったら・・・恐るべし開拓使の会、ゆめゆめ目を離してはならぬ。
 (この記事は全国紙数紙と北海道新聞に掲載予定です。え、ちがうの?)

<レポート by M.Y>

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